OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

『劇場版センキョナンデス』

最近は比較的心の調子がいい。今の自分が一番ストレスを感じることはひょっとすると選挙結果が思うようなものでなかった時かもしれない。 『劇場版センキョナンデス』は、芸人のプチ鹿島とラッパーのダースレイダーによるyoutube番組『ヒルカラナンデス』の…

加納朋子『無菌病棟より愛を込めて』

ミステリ作家よる白血病闘病記。非常に面白く、かつためになる本だった。 まず感じるのが、死のふちという明らかに人生の一大事において、それでも記録を残すという意思、かつ、こういった時でも自身を客観的に見る目を失わない作家的体力。そして家族たちの…

『ELLE エル』

ポール・バーホーベンの長編としては10年ぶりとなる作品。 バーホーベンがやってくる。やあ、やあ、やあ。 ポスターの無表情な女ににらまれた瞬間から映画経験は始まっているのだ。 物語はイザベル・ユベール演じるゲーム会社の社長・ミシェルが正体不明の男…

『アウトレイジ 最終章』

北野武監督のヤクザ映画『アウトレイジ』シリーズの5年ぶり3作目となる作品。北野武監督作品としては通産18作目。 たけし映画の特徴は数学的であること。『そのバカが止まらないーたけしの中級賢者学講座』(新潮社)において、犯人が3人人を殺すシーンを…

『フィフティ・シェイズ・ダーカー』

アメリカの監督ジェームズ・フォーリーの作品。アメリカでヒットした官能恋愛小説『フィフティ・シェイズ~』シリーズの2作目となる。ちなみに、前作は観てません。 実はジェームズ・フォーリーの前作『パーフェクト・ストレンジャー』('07)は劇場で観ている…

『ローサは密告された』

フィリピンの監督、ブリランテ・メンドーサの2016年作品。マニラのスラム街を舞台に、麻薬売買で逮捕された夫婦を描く社会派作品。ブリランテ・メンドーサ作品は初めて観ました。 社会派作品を語る手法を僕は持っていないのかもしれない。フィリピンの貧困に…

『HIGH&LOW THE MOVIE2 END OF SKY』

EXILEを始めとするプロジェクトLDHが中心になって製作された『HIGH&LOW』シリーズの劇場版2作目(スピンオフ除く)。 熱狂的なファンの多い作品であるので、批評には勇気がいるのだけれども、個人的にはそこまで合わなかったというのが正直なところ。 たとえ…

『散歩する侵略者』

劇団イキウメの舞台およびこれを原作とした前川知大の小説を原作とした黒沢清の長編映画。日本公開を基準に考えると前作『ダゲレオタイプの女』('16)より10か月ぶりとなる。 誰かが言った。この映画は黒沢清らしくない。またある人は言った。この映画には黒…

『きみの声をとどけたい』

マッドハウス製作の長編オリジナルアニメ映画。女子高生たちが夏休みにミニFMを通して交流する姿を描く。 さて、オリジナル企画だ。たとえば『君の名は。』('16)なら新海誠の文脈が、『ポッピンQ』('16)ならプリキュアを始めとする東映アニメーションの文脈…

『三度目の殺人』

是枝裕和監督の1年ぶりの13本目となる長編映画。主演は『そして父になる』('13)以来となるタッグの福山雅治に、意外にも初出演となる役所広司。 黒い黒い黒い。そもそも最近の是枝監督の映画は、ポスターが白を基調とした淡いイメージにも関わらず、いざ本…

『君の膵臓をたべたい』

住野よるによる小説の映画化。2017年製作。監督は『黒崎くんの言いなりになんかならない』('16)などで知られる月川翔。長編としては2011年のデビュー以来、11作目となるらしい。スゲェ! 内容は、内気な図書委員の高校生(北村匠海)が膵臓に病気を抱えて余…

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』(2017)

1994年にフジテレビ系列でオムニバスドラマ『ifもしも』の一編として放映され、のちに劇場公開された岩井俊二監督の作品を、『モテキ』('11)などで知られる大根仁が脚本を手掛け、『魔法少女まどか☆マギカ』('11)などで知られるシャフトが製作したという、複…

『お嬢さん』

韓国出身の監督パク・チャヌクの長編としては3年ぶりとなる作品。2016年製作(日本公開は2017年)。日本統治時代の朝鮮を舞台としたコンゲームものであり、女性同士による恋愛映画というジャンル分けが難しい作品。 最初観たときの感想(そしてそれは今もあ…

『ベイビー・ドライバー』

イギリス出身のコメディを得意とする監督エドガー・ライトの長編としては4年ぶり5作目となるクライムアクション。 サイモン・ペッグらとタッグを組んだスリー・フレイバー・コルネット三部作に『ワールズ・エンド 酔っ払いが世界を救う!』('14)で決着をつ…

『ザ・ギフト』

個性派俳優として活躍するジョエル・エドガートンの監督作品『ザ・ギフト』はとても優れたホラー映画であり、社会の縮図を写し取ったような寓意性にも富んでいます。釈然としない終盤の展開には「イヤミス」を感じた。※ 以下、ネタバレします学生時代にサイ…

『永い言い訳』

※ 内容に触れています『永い言い訳』に対する永い言い訳を書こうと思う。映画としては、正直「意味」を求めすぎていて楽しめない部分はあった。しかし、この映画が問いかけた「意味」に対しては、自分なりの誠実さをもって応えなくてはいけない気がする。ま…

ゆきゆきて戦争映画ベストテン

注:『ゆきゆきて神軍』は選出しておりません。 毎年恒例、ワッシュさんの企画に参加致します。http://d.hatena.ne.jp/washburn1975/20161031と言っても、戦争映画はあまり得意ではないジャンル。なぜかと言うと、(これが戦争映画の戦争映画たる肝なのかもし…

『溺れるナイフ』

山戸結希監督『溺れるナイフ』('16)を観たときに感じたものを正直に申せば、それは疎外感だ。例えば、長回しの多様に相米慎二の影響だとか、アフレコの使い方に神代辰巳の影響だとか、土着性の描き方に柳町光男の影響だとかを指摘することはできるかもしれ…

映画オールタイムベスト(2016.7.10更新)

久々にオールタイムベスト映画を更新。前に作ったベストとはだいぶ変わっているので大目に見てください。 1.捜索者(1956) ジョン・フォード The Searchers 2.東京暮色(1957) 小津安二郎 Tokyo Twilight 3.天は全て許し給う(1955) ダグラス・サーク All…

2015年映画ベスト10

ツイッターに投稿した内容とほとんど同じだけれども、ブログにも残しておきます。10位『ヴィジット』(M.ナイト・シャマラン) まさかシャマラン監督作がトップ10に入るとは。同監督作ということを抜きにしても、極上のホラー映画を劇場で楽しんでいるという…

『恋人たち』

「ひとつ言わせてくれ。希望は危険だ。希望は人を狂わせる。」(『ショーシャンクの空に』) 例えば、苛々することがあって独り言をわめいている時に「まるでアツシだな」と思う。あるいは、忙しいのかどうかは知らないが自分の用事がほっておかれて苛立って…

乙郎的音楽映画ベスト10

d.hatena.ne.jp 年末恒例のワッシュさんのベスト企画に乗っからせていただきたく存じます。 さて、音楽映画。多分映画ファンで、音楽はまったく聴かないって人はあまりいないと思います。だからこそ、映画を観ていてこう思った方は多いんじゃないでしょうか…

まつらいさんのこと

一番なじみのあった呼び方で書く。 声優の「まつらいさん」こと、松来未佑さんが亡くなった。僕は決して彼女の熱心なファンというわけじゃなかったけど、『ひだまりスケッチ」の吉野屋先生など大好きなキャラクターに声を当てていたことで好感を持っていたし…

2012年に『ピッチ・パーフェクト』と『スプリング・ブレイカーズ』が公開されたということ

『ピッチ・パーフェクト』('12/ジェイソン・ムーア)は声で始まる。フライング気味に、ユニバーサルのロゴに被せてテーマ曲をアカペラで流す遊びと共に、男性コーラスグループが踊りながらステージ上で唄う。ここで唄っているのは このページによれば リアー…

『心が叫びたがってるんだ。』と健全さ

時たま、作品についてdisられているのがまるで自分のことのように感じられることがある。それは、自分でその作品を好きだと思っているかどうかに限らない。好きではあるけどdisられても痛くも痒くもない作品もあるし、はっきり言ってしまえば今回取り上げる…

『最高殊勲夫人』と『テラスハウス:クロージング・ドア』

かたや増村保造監督作品の中でも人気の高い映画。かたやフジテレビにて放映されていた恋愛バラエティ番組の劇場版。制作時期に50年以上も隔たりがあり、おそらくはこの二つのどちらも好きだという人はまれだと思うが、この二つを並べて見えてくるものがあっ…

『セッション』('14/デイミアン・チャゼル)

音楽は「音を楽しむ」ものだとよく言われる。当然英語圏の映画でこの言いまわしが出てくることはない。けれども、ある程度歳をとると、その言葉が欺瞞ではないかとさえ思えてくる。少なくともプロにとっては。ひょっとするとそこまで競争的に思えない音楽で…

『インサイド・ヘッド』('15/ピート・ドクター監督)

予告編を見たとき、これは「うつ」をテーマにした映画ではないのかと思っていた。さすがピクサー!踏み込むぜ!と思っていたら少し違った。 おそらくは、だ。そう思った理由は、ライリーのパートの色調がかなり暗くなっていたからだろう。 けれども、あの暗…

『シェフ~三ツ星フードトラック始めました~』('14/ジョン・ファヴロー監督)

「考えられるだけのいい女」の代名詞として出すのにふさわしい女優、今なら誰になるだろう? それは、男子同士でコマーシャルなどでよく見かける日本の女優さんの話をしていたのに、「おまえそれは反則だよ!」てな具合にその人の名前を出したらそこで話が断…

『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』('15/クリストファー・マッカリー)

今年は日本で公開されるスパイ映画が連続している。 『キングスマン』9月11日公開予定 『コードネーム U.N.C.L.E.』11月12日公開 『007 スペクター』12月4日公開 これでポール・フェイグ監督メリッサ・マッカーシー主演の『Spy(原題)』が10月に公開してく…