OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

旧作

『最高殊勲夫人』と『テラスハウス:クロージング・ドア』

かたや増村保造監督作品の中でも人気の高い映画。かたやフジテレビにて放映されていた恋愛バラエティ番組の劇場版。制作時期に50年以上も隔たりがあり、おそらくはこの二つのどちらも好きだという人はまれだと思うが、この二つを並べて見えてくるものがあっ…

『西遊記~はじまりのはじまり~』('13/チャウ・シンチー)

日常で抱えている鬱憤と作品の発するメッセージが一致する瞬間がある。そういった瞬間のために僕は映画を見ている。 最近少し嫌なことがあった。「強い者」が自分より弱いと思い込んでいる相手を選んで喧嘩を売り、さらに強い者からの攻撃はうまくかわして世…

『おニャン子ザ・ムービー 危機イッパツ!』('86/原田眞人)

アイドルに夢中になったことはない。 確か中学高校の頃は広末涼子とか優香がいたし、モーニング娘。も全盛期だったけど、当時の僕はロックが好きで、自分で曲を作って自分で唄うことこそ芸術表現だと思い込んでいた(もちろん今はそう考えていません)。あと…

『1999年の夏休み』('88/金子修介)

髪がピンクの少女に出会ったのは人生のエアポケットの時期だった。 と、書くとなにやら怪しいロリータ小説でも始まりそうだが、なんのことはない。人生の中で少々落ち込んでいた時期に『少女革命ウテナ』('97/幾原邦彦)を観て感銘を受けたということだ。 決…

『闇のまにまに』('09/友松直之)

夏である。特に今年の夏は猛暑だ。そこで冷ややかな映画を紹介したい。 90年代の日本映画には夏の香りがする。特に、あのフィルムのざらつきが、他のどの時代のどの国の映画よりも「夏」を思い起こさせる。 僕は勝手にその感触を「夏のぬけがら」感と呼んで…

『百円の恋』('14/監督:武正晴)

「物事を始めるのに遅すぎることなんて無い」なんて嘘っぱちだ。サボっていたツケは必ず払わされるし、若い時からコツコツやっていた連中には敵わない。それでも、始めないという選択肢は、無い。 『百円の恋』('14/監督:武正晴)。実家でニート暮らしを…

『OLの愛汁 ラブジュース』('99/監督:田尻裕司)

椎名林檎がフジロックに出演した際に以前のツアーでグッズとして販売された旭日旗が振られたことについてあちこちで話題になった。個人的な所感としては、たとえそれがユーモアだったにせよ、椎名林檎サイドもデリケートさに欠けていたかなという印象を持っ…

『[Focus]』('96/監督:井坂聡)

浅野忠信のことで口論になったことがある。近年のハリウッド映画や巨匠の映画に出演するようになった浅野忠信を批判する人に対し、そういった活動も肯定的に捉えている自分が反論したのだ。脚本をそのまま読んでいるような演技は誰でもできるからと彼は言っ…

『自転車吐息』('89/監督:園子温)

青春映画の定義について考えた。僕ももう30過ぎのおっさんなので、さすがに今の自分が青春時代にあるとは思っていない。まあ、「青春」という言葉に少しの気恥ずかしさを込めて、青春が過ぎ去った者として考えるのは、すべての青春映画がそうだとは言わない…

『ゴースト・ドッグ』(ジム・ジャームッシュ)

1999年製作。ジム・ジャームッシュ監督、フォレスト・ウィテカー主演の一風変わった殺し屋を題材にした映画。 はじめに言っておくと、この映画の全容をつかめた気というのはまったくしなくて、どんな言葉を紡いでも浅いものになりそうな気がしている。だから…

『レポマン』(アレックス・コックス)

DVDで鑑賞。 ストーリー性が強い作品ではなく、役者に華もないので若干退屈ではあるが、いくつかのショット、そしてラストにはかなり打ちのめされた。 最近のアメリカ映画での核の扱いの安易さには辟易するけれども、この映画が撮られた1984年においてはまだ…

『赤ちゃん教育』(ハワード・ホークス)

DVDにて鑑賞。 名作の誉れ高い作品なので構えてみたら、とんでもなくパンクでアナーキーな映画だと思った。格調高いところはほとんどなく、この映画から教訓らしいものを受け取ることは難しい。未だに「なんだったんだあれは?」という心境。 はっきり言って…

『ウィッカーマン』(ロビン・ハーディ)

これは久しぶりにオールタイムベスト審議委員会にかける案件が出てきたと思った! うまくはない。それも込みで作っている可能性もあるが、技術は高くない。が、画面に映るものすべてが狂ってて面白いし、間違いなく好きだ。 それで思った。対象があれだけ常…

『狼男アメリカン』(ジョン・ランディス)

レンタルDVDにて鑑賞。 最近の映画で人間から異獣へ変化するシーンをとる際には、CGの変化もあるのかリアリティを重視した結果なのかは知らないがさらっと描くようになった。だが、この映画が公開された80年代はVFXの技術を見せるためかなり尺がとられている…

『ガメラ3 邪神覚醒』(金子修介)

新宿駅の大狂乱シーンだけでも映画史に残る。全体としては様々なエピソードを詰め込んだため散漫な印象は受けるが、この雑多な感触がそのままガメラの巨体に内包しているものの多さのように思えてくる。 正直に言って『ガメラ3』はまだ咀嚼しきれていないと…

『ガメラ2 レギオン襲来』(金子修介)

今まで観たことなかったということを白状するのが恥ずかしくなるくらい、最高! 観終わってしばらくしてもまだ興奮している。鑑賞中に受ける感触は『E.T.』に近かった。おかしいところとか欠点はあるし、そこを頭の中の冷静な部分で指摘はできるんだけど、他…

『ソラニン』(三木孝浩)

僕は結構好きです。「青春の終わり」映画としてなかなかいい線行っていると思います。このあたりの良さは『僕等がいた』でもちょっと感じたけれど、監督の資質として合っているのは多分こっち。 ただ、近藤龍人さんの撮影に支えられている部分は正直かなり大…

『MAKE THE LAST WISH』(園子温)

日本映画専門チャンネルにて鑑賞。 多分、園監督的には制作経緯から言って不本意な出来なのだろうけど、個人的には結構楽しめました。「アヴリル・ラヴィーンの妹」オーディションのドキュメンタリーに双子の姉の敵討ちのため参加した満島ひかりに関する劇パ…

『コータローまかりとおる!』(鈴木則文)

2014/7/25@新文芸坐 漫画の実写化かくあるべし。 要は、少年漫画らしいスケベな主人公にジャッキー・チェン要素を足したもの。格調高さはまるでないものの、漫画の登場人物をパロディ的に再現するばかばかしさに拍手。 漫画的なばかばかしさというのは衣装…

『伊賀野カバ丸』(鈴木則文) 

2014/7/25@新文芸坐(鈴木則文特集上映)『コータローまかりとおる!』よりこちらの方が完成度高い。けれども、こちらのほうが支離滅裂だw この真田広之(写真右)を見て笑わない人がいるんだろうか。 基本的に黒崎輝を主人公にした漫画原作映画はどちらも…

『モンスターズ 地球外生命体』(ギャレス・エドワーズ)

レンタルDVDで鑑賞。 もうすぐ公開されるリブート版『GODZILLA』の監督に抜擢されたギャレス・エドワーズのデビュー作品。 タイトルから連想されるようなモンスターパニック映画を期待すると少し肩すかしをくらうかもしれない。ただし、SFであることは間違い…

『ウォールフラワー』(スティーブン・チョボウスキー)

レンタルDVDで鑑賞。 青春を決して過大評価も過小評価もせず描いている(そりゃエマ・ワトソンが演じることで生じる付加価値はあるが)。 なんというか、この映画を語っているとどんどん自分語りが出てきそうなんで、少し調節しながら話したいわけです。数年…

『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』(ジム・ジャームッシュ)

レンタルDVDで鑑賞。夜の映画。この映画はいくつもの相反した要素を併せ持ちながら進んでいく。古い技術/新しい技術、闇/光、生/死、男/女。そして辿り着く先。 おそらく僕が言わなくてもこれまでに百万人が言ったことだとは思うが、音楽や文学を愛する…

『四月物語』(岩井俊二)

レンタルBlu-Rayで鑑賞。 久々に観た。大学入学当時というこの時期を切り取ってくれるだけで傑作認定したい。タイトルに反してほとんど物語はないにも関わらず女の子のスター性でひっぱるのはこれと『もらとりあむタマ子』くらいでは。 実は、中盤に回想で北…

『アイドル・イズ・デッド』(加藤行宏)

レンタルDVDで鑑賞。 おもしろかった!既存のアイドル映画×とあるジャンルといった趣なのだけれども、まだレンタル始まったばっかりだし、どんなジャンルかも伏せておく。どんなジャンルかも知らずに観てびっくりしてほしいという気持ちがあるので。 僕に至…

『白鳥麗子でございます!』(小椋久雄)

日本映画専門チャンネルで放送していたものを視聴。 とりあえず、画質が綺麗だった。素人考えだけど、ハンディカムも多いし撮影はフィルムじゃないのかもな。 やっぱりさ、登場人物に「まあ、あそこにいい男がいるわ」と言わせてはいけないと思う。そして、…

『ブラックホーク・ダウン』(リドリー・スコット)

レンタルBlu-Rayにて鑑賞。 改めてブルーレイで観ると隅々まで構成された画面や色彩にうっとりする。けれども描かれるのは悲惨な戦場。このバランスがリドリー・スコットらしい。 正直、自分の中で好きか嫌いかはっきりした作品ではない。まだ咀嚼しきれてい…

『浮き雲』(アキ・カウリスマキ)

レンタルDVDで鑑賞。かなり好き。今まで見た中では一番見やすいと思った。アキ・カウリスマキ監督の円熟を感じた。初心者にもおすすめかも。 カウリスマキ作品の中では見やすいと書いたのは、これがかなり強固な物語構造を持っているから。けれども、冷静に…

『生きるべきか死ぬべきか』(エルンスト・ルビッチ)

以前レンタル落ちを購入していたDVDを鑑賞。とてもよかった。物語を進めることが第一義、メッセージを伝えることが第一義の映画だが、それでも要所要所で爆撃映像を挿入する、中盤の劇場内追いかけっこの映画的高揚等、見所はあった。 この映画を下敷きにし…

『愛しのタチアナ』(アキ・カウリスマキ)

レンタルDVDで鑑賞。モノクロ映画。何本か見て思ったけれども、もうカウリスマキ作品は面白いとかつまらないとか、そういった次元で語るのはよしたい。そこに世界があるだけでいい。 ロードムービーですね。とにかく、マッティ・ペロンパーのぎこちない動き…