OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

book

貴志祐介「青の炎」

貴志祐介作の倒叙モノミステリー小説。1999年発表で2003年には映画化。主演は二宮和也でヒロインは松浦亜弥ってそうとう不評そうなんだが。観てないが。あと曽根は山本寛斎よりも古田新太でイメージした。 確かに、これはすごい。エンターテイメントとしての…

古橋秀之「ある日、爆弾が落ちてきて」

電撃文庫から出ている、ライトノベル作家古橋秀之の短編集。 あとがきでも述べていますが、女の子のほうの時間の進み方が少し違う、ちょっと変わったボーイ・ミーツ・ガールストーリーが7つ。 青春モノライトノベルといえば、学生時代の瑞々しさの再現がと…

東野圭吾「変身」

東野作品。1993年発表。 粗筋。強盗に狙撃された平凡な青年・成瀬純一は世界初の脳移植手術を受け、奇跡的に復活する。しかし、その日から、成瀬の内面に変化が現れ始める。自己が侵食されていく恐怖におびえた成瀬は、自分に移植されたドナーの持ち主を突き…

伊坂幸太郎「陽気なギャングが地球を回す」

伊坂幸太郎さんの3冊目の本。ジャンルはクライムサスペンスといったところでしょうか。 前半は読みづらいところがいくつかあって、何度もページを戻したりしました。この人の特徴なのかもしれないけれど、地の分で人物の説明をあまり行わず、登場人物にその…

橋本治「つばめの来る日」

橋本治の短編集。1999年出版で、文庫化は2001年。 ぼくは高校の頃「桃尻娘」シリーズを読んで以来橋本治を好読していたのだけれど、べつに新刊ごとに買い求めるというほどもなく、古本屋に行ったらとりあえず「は」を探すくらい。この人は「桃尻娘」および「…

石田衣良「骨音 池袋ウエストゲートパーク?」

IWGP三作目。 ふと思ったのだけれども、石田衣良さんは1960年生まれ。おそらくは全共闘を子供の頃に見た世代。IWGPは若者のリアルを描いた小説だと思われがちだし、実際にそうだと思うけれども、IWGPを書き始めたときにはすでに37歳で、若いとはいえない年齢…

石田衣良「少年計数機 池袋ウエストゲートパーク?」

連作シリーズ、池袋ウエストゲートパーク(以下IWGP)の2作目。1999年から2000年にかけて発表されており、ドラマ版は「少年計数機」までだ。 少し長めの「水のなかの目」で考えたこと。暴力に対しての立場。IWGPにはチーマーの抗争等を描いてるゆえに、暴力…

石田衣良「池袋ウエストゲートパーク」

石田衣良さんのデビュー作。1997年に発表され、オール読物推理小説新人賞を受賞している。2000年にはドラマ化しており、こちらも名作として語り継がれている。 とにかく文体がかろやかで瑞々しいというのが特徴。マコトという雄弁な語り手から直接話を聞かせ…

東野圭吾「容疑者Xの献身」

東野圭吾の直木賞受賞作。2005年出版。 白夜行を読んだときも思ったが、この人の理系ならではの構成力には頭が下がる。絶対思いつけないし、いくら考えをめぐらせても東野圭吾の掌中にある、そんな気がする。 トリックについては触れられないので、レビュー…

鴻上尚史「恋愛王」

恋愛について語られなくなったなと思う。 多分、ぼくのチェックが追いついてないという部分も大きいのだろうけど、今の時代、たとえばコラムだのエッセイだので恋愛について論をぶちかますような風潮が薄まった気がする。 鴻上尚史さんは1990年出版の恋愛エ…

ダン・ブラウン「ダヴィンチ・コード」

今話題の本、遅ればせながら読了いたしました。 ミステリーの感想文ってのは難しいのだけれども(トリックに触れるのが難しいからね)、とりあえず。感想は、まず暗号解読が肝なのですが、この暗号に関しては読者の考え・教養を超えたところにあるなと思って…

滝本竜彦「NHKにようこそ!」

引きこもり界のトップランナー・滝本竜彦氏の2冊目の小説で、漫画も大ヒットしている。滝本さんはこれ以降小説をあまり精力的には出していないらしく、残念ではあるのだけれど。 内容は、今から4年前のはてなダイアリーも無かった時期に出されたとは思えない…

谷川流「涼宮ハルヒの消失」

涼宮ハルヒシリーズの4冊目。ファンの間でも最高傑作との呼び声も高い作品。 この作品、何気にハルヒの登場回数が少ないです。けれど、キョンの冒険譚としてかなり面白く読ませてくれます。 そうだね。たとえば、ドラえもんやクレヨンしんちゃんの映画にはよ…

谷川流「涼宮ハルヒの退屈」

涼宮ハルヒシリーズの3冊目。連作短編集のようなもの。 SOS団のおかしな日常が描かれていて、確かに3冊目ともなるとキョンの語り口にも慣れてきて、多少のマンネリズムの感じるのだけれど、これで日常を十分に味わったからこそ4冊目が冴えるわけで、そういっ…

谷川流「涼宮ハルヒの溜息」

涼宮ハルヒシリーズの2作目。ファンの間では黒歴史扱いらしいです。 それなりに楽しめたし、オチには「あぁ」と膝を叩かせてもらったけれど、少しこの回のハルヒの傍若無人ぶりには腹が立つかな、って、キョン目線だから仕方ないけれども。 特に何ということ…

横山秀夫「ルパンの消息」

横沢秀夫の幻のデビュー作。 推理小説というよりも、人物描写に重きが置かれている感じ。三谷幸喜に近いものを感じさせた。まあ、三谷作品にはレイプは100パー出てこないが。 後半のハラハラさせる感じは圧巻。映像がポンポンと思い浮かんでくる。 文章に関…

原寮「私の殺した少女」

原寮のミステリー小説。直木賞受賞。 和製ハードボイルドというべきか。もちろん影響はもろにアメリカのそれなのだけれど。笑っていいのかどうかわからないユーモラスな表現が印象的。 これもちょっとトリックが納得いかなかった。てか、卑怯じゃない。 この…

恩田陸「六番目の小夜子」

恩田陸の衝撃のデビュー作。 恩田陸の描く学園生活には、リリイ・シュシュのすべてで観た田園風景と同じ風景がある。キラキラしてるけど同時に閉塞もしている。 こういったミステリーの類を読むときに最初にすることは、すべてを合理的に、科学に基づいて考…

高野和明「13階段」

乱歩賞受賞のミステリー小説。 あらすじは、犯行時刻前後の記憶をなくした死刑囚の無罪を立証するために刑務官・南郷と元服役囚・三上は調査に乗り出す、というものです。 ミステリーの感想は書くのが難しい。けどがんばって書いてみます。 とりあえず、この…

田辺聖子「ジョゼと虎と魚たち」

田辺聖子の短編集。1987年発表。仕事をもった大人な女性たちの恋の話。 まず、最初に感じたのは、どの作品にもそこはかとなく漂う和の要素、それも、茶道確立以降のわびさびの要素だ。畳と番茶のある恋の話だ。この和の要素は少し群ようこさんとの共通項を感…

森博嗣「数奇にして模型」

森博嗣描く「S&Mシリーズ」の第7作目。模型展示会場と工科大学の研究室で殺人が起こって、模型展示会場のほうで倒れていた男が真っ先に疑われたが…、という事件を犀川創介と西之園萌絵のコンビが解決するというものです。なんだろ、これ。まず、タイトルの…

東野圭吾「白夜行」

現在、ドラマ化されて話題になっている作品です。東野圭吾さんのミステリー作品ですね。 東野圭吾さんは、かなり作風の幅がある作家です。ぼくのファーストコンタクトが「超・殺人事件」だったのでそう思うだけかもしれませんが、ただ、一見ユーモアにのみ傾…

西尾維新「クビキリサイクル―青色サヴァンと戯言使い」

「京都の20歳」西尾維新の鮮烈なるデビュー作。一応範疇ではミステリーということになるのでしょうか。 とりあえず、この作品の魅力は登場人物同士の哲学的な会話、および主人公「いーちゃん」の、哲学的で、ちょっと自嘲的なモノローグにあると思います。モ…

谷川流「涼宮ハルヒの憂鬱」

第8回スニーカー大賞受賞作で、谷川流さんのデビュー作。ジャンルとしてはSFと学園モノということになるのでしょうか。いわゆるライトノベルですね。 あらすじは、「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、超能力者がいたらあたしのとこに…

新井素子「グリーン・レクイエム」

SF作家・新井素子さんの3作目となる短編集。確か出版が1980年で、当時20歳、本作収録の「宇宙魚顛末記」にいたっては1978年の発表なので、書いた当時18歳でした。今の僕はその年齢すら超えてしまったわけで、そう思うとため息が出ます。ちなみにこの方はデ…

滝本竜彦「ネガティヴ・ハッピー・チェインソー・エッジ」

ひきこもり出身の作家、滝本竜彦のデビュー作。 経歴を見るに、この方がひきこもりをしていた時期ってのは1999年前後ってことになる。まだネットもそれほど普及してなかった時代に、彼が自分のアイデンティティを求めたのは何だったのだろう?多分今ひきこも…

樫村政則「完全失踪マニュアル」

ジョージ朝倉さんの短編に参考文献として名前が出てきたので呼んでみた。 失踪にはいくつかパターンがあるけど、自分に内面的変化をもたらすために行うのが短期間の失踪で、変わらざるを得なくて過去の自分を殺す形をとるのが長期間にわかる失踪なのだと認識…

中島らも「心が雨漏りする日には」

中島らもさんが躁鬱病になって、それを医者とかかわりながらどう戦っていくかを書いた本。これを発表した2年後になくなってしまうわけだけども。 小説みたい、最初読んだ感想はそれだった。全体的に、一時期に比べてギャグは控えめで、気取りが前面に出てい…

中島らも「僕に踏まれた町と僕が踏まれた町」

2004年の7月26日に中島らもさんが階段から落ちて亡くなられた。僕はもともと新聞もとらない上、そのころはテレビすらほとんど見ていなかったので知ったのはだいぶ後、イエローモンキーの解散でネットをあさっていたときに知ったと思うので、自分でも不届きだ…

白岩玄「野ブタ。をプロデュース」

第41回文藝賞を受賞し、芥川賞の選考にも残った小説。作者は普段は漫画しか読まないらしい。タイトルを見て、野ブタの後の「。」は否応にもモーニング娘。を連想させるし、「〜をプロデュース」っていうのは、内Pで内村光良が最初に言う台詞を連想させる。だ…