OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

ロクニシコージ「こぐまレンサ」

2003年の後半から2004年の前半までヤングマガジンに連載されていた漫画。鴨谷は高校のころこの人の「すべてに射矢ガール」という漫画が大好きで、毎週これと「ヒミズ」を立ち読みしていた。「こぐまレンサ」連載時も「シガテラ」と一緒に読んでいたし、ロクニシコージ古谷実の組み合わせで読むのが好きなのかもしれない。余談ですが連載初期のころ鴨谷は人性初のアルバイトを経験していて、結構つらかった時期なので「こぐま」「シガテラ」2作品は思い入れがある。
連載時に最終回読んだときは、なんか最後の台詞が結局凡庸になってしまったなあと思ったんだけど、まとめて読むとこの台詞を言う必然性がわかる。
ストーリーは初期は前作から引き続くコメディが基盤だったが、わりと陰惨でグロテスクなところもあり、シンプルな絵が逆に残酷さを際立たせている感じがする。「テーマは現代人の孤独を描く」なんて陳腐な言葉で片付けたくはないけど、それに近いことだ。人間は本来愛されているという感覚、すなわち自分を認めてもらうことなくして生きていくのは困難なのにもかかわらず、その感覚を得ることが難しい人もいる。それじゃどうすればいいのさって言うと、ペットを飼ったり、出会い系サイトで人に会ったり、人に認められる絵や小説を発表したり、そういった感じで補っていく。ただし、それがニセモノである場合は(あんまり断定したくはないけど、このブログだってニセモノのコミュニケーションと言えなくはないので)いつか破綻をきたす。この作品で、愛を知らない少女こぐまを出すことで、反面的に人の愛を映すが、こぐまが愛を知ったとするのは、常に直接的なコミュニケーションだ。直接的なコミュニケーションによって人は完成する、それがロクニシコージが「射矢ガール」から描き続けているテーマなのかもしれない。

こぐまレンサ 1 (ヤングマガジンコミックス)

こぐまレンサ 1 (ヤングマガジンコミックス)