OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

ハナレグミ「帰ってから、歌いたくなってもいいようにと思ったのだ。」

 最初はあまり期待してなかった。前作、「日々のあわ」はすごい評判高かったし、実際に名曲ぞろいだとは思うけど、最後には少し退屈してたから。今作も、タイトルやジャケット見てよさそうだとは思ったし、くるりのカバーの面白そうだったけど、僕に後々まで残るような影響を与えるとは思えなかったわけ。
 だけど、まあ、レンタルで借りて聞いたんだけど(くるり目的)、前までの見方を覆すような、そんな名盤だった。昨日取り上げたサンボマスターと同じく、流行ってるからって色眼鏡で見ちゃいけんね。
 曲調は前作よりもバラエティに富んでる気がする。永積宅に機材を持ち込んでつくったってだけあってアレンジは簡素に済まされていて、それならまた退屈なものになりそうなもんだけど、どうしてこれが聞き飽きることない最高のアレンジだったさ。
 永積さんの声は決してフォーク的だとは思わないんだよね。ファンクみたいなノリのいい音楽をやるのに適している、どっか黒人的な影響もする声だけど、なにかメッセージを伝えるのには向いてないような気がしたわけ。どちらかっていうと雰囲気重視、みたいな。歌の巧さがそれを邪魔しているような気がしたのかな。けど、ハナレグミの世界で一貫して表現されているのは本当に日常で考える些細なことだったりするんだよね。もちろん日本語のプロテストソングを歌う永積さんは(ボブディランのように?あるいはスライアンドファミリーストーンのように?)想像つかないんだけど、こうした日々思うことをエッセイのようにアコギと声でつづる永積さんは、十分にフォーキーでファンキーなのかなって、思った。きっとこれはヘッドホンで音の隅々まで聴く音楽じゃない。夕方から夜に変わるくらいの時間に、あまり大きくない音量でかける音楽だ。
明日はそんな風に「日々のあわ」を聞いてみようかな。

帰ってから、歌いたくなってもいいようにと思ったのだ。

帰ってから、歌いたくなってもいいようにと思ったのだ。