OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

スピッツ「惑星のかけら」

今作で思い浮かぶ情景は晴れきった青空と白い灯台、原っぱ、そんな感じ。
初めて聴いたのは高校のときで、そのときは冒頭のメタリックなギターがスピッツと結びつかなくて、どうしてもだめだった。けど、大学に入って改めて聴いたとき、そのギターフレーズの意味がわかった気がした。M-1「惑星のかけら」に限らず、M-2「ハニーハニー」、M-4「オーバードライブ」など、ヒットチャートに出てくるスピッツのイメージからはかけ離れたハードでエッジナギターフレーズが頻出する。それはおそらく、このアルバムがカオスから開放(宇宙に旅立つイメージ)を表現しようとしているからなのかもしれない。それはある意味SFの世界観である。SFといえばオタクを連想する方もいると思うが、詩もかなりオタク的なところがある。
「くたびれたロバにまたがった ビキニの少女がその娘さ 僕のこと覚えてるかな」(草野マサムネ詩「波のり」)
個人的には穏やかな表情を持ったM-4「僕の天使マリ」(詩が最高)、明るいアレンジが逆に過ぎ去ったことに対する寂しさを助長するM-5「アパート」が好きだ。ただ、一番リピート回数が多いのはM-10「日なたの窓にあこがれて」かもしれない。今作収録曲の中で一番ストレートでありながら、浮遊感あるシンセが特徴的なこの曲は、SF小説の中に少し入っている恋愛要素のようなものなのかもしれない。草野さんは知っていたのだろう。SF小説の中の恋愛描写は時に恋愛小説のそれよりも心に残ることを。
「僕の欲しいのは優しい嘘なんかじゃない」(草野マサムネ詩「日なたの窓にあこがれて」)

惑星のかけら

惑星のかけら