OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

魔女の宅急便

 言わずと知れた宮崎アニメの代表作。1987年発表。テーマソングがユーミンだったことでおなじみですね。
 個人的にスタジオジブリ作品では一番好きな作品。確かに、完成度や内包しているテーマといった点では、「ナウシカ」や「千と千尋の神隠し」よりはないと思う(宮崎アニメの最高傑作は「千尋」だと思います)。だけど、この作品はすごくいい。たしか部活の先輩に薦められて観たんだけど、ラストで泣いたのを覚えている。この作品の魅力って言うのは、きっと共感の度合いが他の作品に比べて高いところにあるのだと思う。
 冒頭で、キキが父さんからもらったラジオから流れるユーミンの「ルージュの伝言」が、現実との橋渡し的役割を果たしている。これは自然との共感とかそういった崇高なテーマじゃなくて、単なる一人の少女の成長譚なんだっていうことを伝える役割。結局私が泣いたのは、キキの苦労が描かれる中盤が一人暮らしを始めたばっかで苦労が耐えない自分の姿がだぶったからだろうし、それでも優しくしてくれるおばさんとかがいたからこの話は観ててつらいものにはならなかったんだろうし、ラストでのキキの成長した姿でなんだかほっとしたからだ。
 それと、宮崎作品を語る上でのもうひとつのキーワードに、場面の美しさがある。宮崎作品を観ていて、こんなところに行きたいなあと思ったことがあるはずだ。きっとそれは、僕たちの原風景みたいなものを描いているからだ。この作品は、多分舞台は外国、(それも多分ヨーロッパか北アメリカで、間違ってもアジアではないはずなんだけど、なんだかなつかしい気分になる。外国なんていったこともないのに、だ。おそらくそれは、僕たちがみんな外国の童話を読んだり、外国の写真をみて憧れたりという原体験を持っているからだ。個人的には、この外国の世界観がスピッツの「魔女旅に出る」に継承されているような気がするんだけど、どうかなあ。

魔女の宅急便 [DVD]

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