OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

羽海野チカ「ハチミツとクローバー」

 引越しシリーズです。
ハチミツとクローバー」を読んだのは2004年の1月あたりだった。氷点下まで下がる冬での生活は初めてだった。そんなときにこれを読んだのだけれど、なんだか、ほんわかした気持ちと一緒に痛々しい気持ちにもなった。
 ストーリーは、五畳一間のぼろアパートに暮らす3人の美大生(男)、彼らの恋愛模様を描いている。多分、俺が何でこの作品を好きかって言うと、男子の恋を描いているからなんだと思う。つまりは、一番自分が興味のある話題だから。
 さて、この漫画は、男性を主人公にしていながら今時珍しいくらいの少女漫画の王道テイストをベースにしている。ヒロインのはぐは言うまでもなく、この漫画のすべての構成要素が、かわいい。ただ、巻が進むにつれて読んでいけばわかるけど、結構ままならない恋とか、そういった現実的なもの、痛々しいものも描いている。
「恋をすると女の子はきれいになるというけれど・・・、男はダメだな・・・。カッコ悪くなっていく」
 俺が一番好きなのは実は真山のエピソードだったりする。届きそうにないものに恋焦がれている姿が好きなのだ。上のせりふは真山がその女性のアパートの下で、今時分がやっているのはストーカー行為じゃないのかと自問自答をして悩んで言う言葉だ。これほどまでに突き刺さる言葉はなかった。恋をする男の気持ちを、最も端的に表した言葉だと思う。
 ところどころにちりばめられたギャグも笑える。この漫画を読んだ後は癒された感じになるんだけど、これはおそらく、この漫画の登場人物に悪人がいないからだろう。ある意味メルヘンだ。だけど、確かに恋愛の真実を描いている。

ハチミツとクローバー (1) (クイーンズコミックス―ヤングユー)

ハチミツとクローバー (1) (クイーンズコミックス―ヤングユー)