OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

大塚愛「LOVE PUNCH」

「もう一回!」でおなじみの「さくらんぼ」で一躍有名になったアイドル系シンガーソングライター大塚愛の1stアルバム。これは冗談じゃなく名盤。
 発売当初に聞いたんだけど、聞くときにはある程度好意的だったものの最初大塚愛を見たときの印象はあまりよくなかった。俺はもともとアイドルを毛嫌いしていたほうだった。ロックに思想的なものから入っていった俺は、基本的に音楽は歌う本人が作詞作曲するものだというポリシーみたいなものがあった。でも、そう考えていながらJ-POPのヒットチャートに上がるような曲をいいなって思う自分もいたわけ。
 そういった先入観を砕いてくれたのは、松浦亜弥の「ファーストKISS」だった。つんく♂プロデュースというと、ロックファンにはそれだけで毛嫌いする人も多いんだけど、これは文句なしの名盤だった。このアルバムを期に音楽を聴く際にプロデュース能力みたいなものにも着眼するようになったと思う。松浦亜弥の存在がアイドルの存在意義を確認させ、それが大塚愛のようなアイドル系シンガーソングライターを生んだのだろう。
 アイドルというものを嫌っていたのにはもうひとつ、それがどっか男側に都合いいもののような気がしていたのがある。ただ、これに関してはそれでいいんじゃないかなあって。前記のようなシステムを言い換えるならば「萌え」なんだよね。それをビジネスに利用しているって言うのは表現が悪い気がする。エンターティナーたるものリスナーおよびオーディエンスを喜ばせる役割があるわけだし、それに「萌え」を用いるのは決して悪いことじゃないって、そう思った。
 前書きが長くなったけど大塚愛のアルバムの説明。aikoに似ているといわれるが、これは別に悪いことでなく、ただ前記のようなスタンスが、方法論は違えども共通しているのだと思う。大塚愛は結構下世話な感じがある。2ndアルバムのジャケットも含めてかなりあからさまな表現もある。だけどそれがアイドル性を前面に打ち出したサウンドプロダクションに乗ることで、高度なポップミュージックと化している。
 好きなのは「桃の花ビラ」。デビュー曲なんだけど「さくらんぼ」より好きかも。ドリーミーなシンセの音から入って、広がるようなサビでは三線の音も入って、一歩は違えるとキワモノなんだけどそれがきちんと春の情景を表現するのに役に立っているのがすばらしいと思う。スピッツの「ナンプラー日和」はこれを参考にしたんじゃないかな。
 ところで、大塚愛より少し先輩格で、ヒットチャートでも上位に食い込む女性シンガーソングライターに一青窈がいるんだけど、俺は大塚愛一青窈って同じカードの裏表みたいな印象受けるんだけど、どうでしょう。

LOVE PUNCH (通常盤) (CCCD)

LOVE PUNCH (通常盤) (CCCD)