OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

eastern youth「DON QUIJOTE」

 イースタンユースの「矯正視力〇・六」は僕の2004年の夏のテーマソングだった。夏って言ったって別に海に出かけたとかそういった夏の風景じゃない。本当は熊本の海に出かけたんだけど、その前の一週間くらい研究室の手伝いをしていて、18時くらいまでずっと学校にこもりっきりだった。せっかくの20歳の夏にいったいなにをしてるんだろうという気になった。そんなときに良く聴いていたのがイースタンユースの『DON QUIJOTE』だった。イースタンが夏にアルバムをリリースするということ自体が僕にとってはうれしかった。そして僕は前述のとおりつらい心境をこのアルバムとともに過ごした。全体的にポップで、どこか前向きな詩はいつものイースタンとは違う気がしたけど、それでもいい作品だと思った。吉野の歌い方は着実に表現力が上がっている。
一番好きなのは「矯正視力〇・六」だ。イースタンには珍しくピアノ(小谷美紗子演奏)で始まるこの曲は、「何回だってやり直す」という決心めいた静かな叫びが心を打つ。それがサビに向かって演奏とともにヒートアップし(「馬鹿な俺はいつでも爪先立ちでヘッドライトに怯えて歩く」の部分のドラムの盛り上がり方は最高。泣ける)、サビで「朝な夕なに俺らひとりあんな人こんな人さ」と爆発する部分がなんとも言えないカタルシスを生んだ。そして最後には収束しイントロ部分に戻る感じが良かった。最後の「そして俺は右に 君は左さ すれ違ってすぐ見えなくなる」の部分の寂しさがなんともいえなかった。今僕が言えるのはただひとつ、あの夏は最悪だったけど、それでもこの曲と出会えて本当に良かった。

DON QUIJOTE(ドン・キホーテ)

DON QUIJOTE(ドン・キホーテ)