OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

エレファントカシマシ「ココロに花を」

 相変わらず季節に敏感でいたいby岸田繁
 安易にも季節に合わせてベタなものばっかり聴いているが、しょうがねえや。日本人なんだもの。
 時々、無性にポニー時代のエレカシが聴きたくなる。エレカシ宮本浩次本人にとっては、あまり良い時代だと思ってないのかもしれない(出来上がったデモテープを聴いてウォークマンごと壊したという逸話は有名)。けど、ここで鳴らされている音楽は、誰がなんと言おうとすごく良い。宮本のメロディメーカーぶりも発揮されているし、佐久間正英のアレンジも良い。冒頭にも書いたけど日本人だから季節感があるのはしょうがない。宮本浩次という男は純日本人だ。エピック時代のハードロックに始まり「珍奇男」に見られるような浪曲のようなロックをやったりと、自らの思いのたけをぶつけるのにやりたいほうだいやる宮本も日本人だ。俺は、そんな攻撃性も叙情性も併せ持った宮本という男に日本人としての琴線を刺激されるので、惹かれるのだ。
 この時期の詩の面で思うのは、宮本は男らしい人だと思うのだけれど、同時に女々しさも併せ持っていて、それも含めて男らしいということだ。誰がなんと言おうと、ありのままをさらけ出せる人はかっこいいと思う。
「花を飾ってくれよ いつもの部屋に」(宮本浩次作詞「悲しみの果て」)
「崩れちまいそうなココロに勇気を投げてくれよ」(宮本浩次作詞「明日に向かって走れ」)
「街を彷徨う男ヒトコイシクテさあ」(宮本浩次作詞「ヒトコイシクテ、アイヲモトメテ」)
 「ココロに花を」に駄曲はないけど、特に好きな歌は、M-2「悲しみの果て」、M-4「孤独な旅人」、M-6「四月の風」、M-8「うれしけりゃとんでゆけよ」。「孤独な旅人」は穏やかなアレンジが春を連想させるし、「振り仰げばそう誰かしら呼んでる声」あたりの部分になると本当に宮本の人間としての感情の昂ぶりが感じられて身が引き締まる。メロディもいいし。「四月の風」も、「風が誘いにきたようだ」と歌われるところになると、心を持ってかれるような気がする。特に間奏明けのところなんか最高。宮本の声によるところも大きいのだろう。太めで、ややかすれているのだけれども、追い詰められている苦しみでも満たされている穏やかさでもこの声で表現されると聴いている人は追体験しているような気分になる、そんな声だ。怒りを表現するときも同じ。ラスト近くの「うれしけりゃとんでゆけよ」で感じられるダイナミズムは明日へと駒を進める活力になり得る。そんな曲だ。

ココロに花を

ココロに花を