OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

THE BACK HORN「ヘッドフォンチルドレン」

 これ、バックホーンの最高傑作でしょ。遅ればせながら聞きました。すごく、サブカルチャーな感じは受ける。サブカルっていうのは元来、わかりやすいものだと思う。サブカルってのは時代感、つまり、その時代に生きている若者がどういったことを感じていたかというのを芸術作品として昇華するところにその役割があって、もともとは文学がその役割をになってたのだから。
 そしてバックホーン。デビュー当時から、美しいメロディと轟音ギターサウンド、そして山田のシャウトを特徴としてきた。今作ではそれがより純化されていながらも、わかりやすく響くようになったと思う。「ヘッドフォンチルドレン」というのは自分の世界に閉じこもって周りに目を向けない人たちのことを表現した言葉らしい。全体を通して、そういった時代に警鐘をならすような緊迫感が漂っている。「扉」の、あえて強拍をずらして鳴らされるシンバルとか、「コバルトブルー」などに見られるハードロックテイストのエッジのきいたギターとかが、それを表現している。一見リラックスしたムードの表題曲も、レゲエのギターリフが全然澄み切っていないで、なんだか作り物の青空を表現しているみたいだ。そう、この作品のアレンジはすごく無機質だ。だから、その対比でバックホーンの美しいメロディが浮き上がるのだと思う。それにしても、どの楽器対もすごくうまくて聞き惚れる。ライブ観たい。
 メロディも今までで一番良いと思う。そして、山田の歌声での表現力も上がったなあと実感できる。デビュー当時はシャウト系の歌唱法ばっかりで、アルバムを通すと飽きる傾向もあったのだけれど、前作あたりからバラードにも合う優しげな歌唱法を魅せ、歌心がついてきた。今作で、僕が連想したのは椎名林檎。山田の、シャウトでも十分に聞かせられて、感情の吐露をやっていて、下世話なんだけど同時に無垢の印象を受ける歌声って言うのは椎名林檎に通ずるものだ。思うに、これだけやりたい放題やっていながらもヒットチャート上位に叩き込めるような大衆性を備えた音楽というのは、椎名林檎に続く二つ目の成功例かもしれない。