OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

初恋の嵐「初恋に捧ぐ」

 2002年にボーカル&ギターでソングライティングも担当していた西山さんが急逝したために、メジャーデビューアルバムにしてラストアルバムになってしまった初恋の嵐の作品(2002年リリース)。
 僕がこのアルバムに出会ったのは大学入ってからすぐのことだったんだけど、とにかくいい曲がたくさん入っていると思った。個人的にはM-6「涙の旅路」〜M-7「nothin'」の流れが最高。西山さんの声は決して100パーセント陽ってわけじゃなくて、暗いわけではないんだけどどこか陰も感じさせる、そんな声だ。やさしめの声だとは思うが。曲もその優しい曲調とは裏腹に、詩には結構毒というか、恋愛の一局面を生々しく描きつつも「初恋の嵐」的オブラードに包んだような、そんなところがある。
 ジャケットのせいかもしれないけど、全体的に夏を感じさせるアルバムだ。なんだか、真島昌利が描いた夏の風景と通ずるところがあるのかもしれないなと、「真夏の夜の事」を聞いてると思う。たぶんに、そんなに押し付けがましくない細い感じのギターの音もその要因になっているのだと思う。
 一番好きな曲は「nothin'」。7分あまりの長い曲だけど、その長さを感じさせない。か細いギターリフはなんだか泣いているみたいだし、メロディは美しいし、そして、最大のポイントは歌詞だ。自然と別れを選ばざるを得なくなった男のどうしようもない感情をこれほどまでにうまく描いた詩は、ほかに数えるほどしかないと思う。
 最近レミオロメンがここまで広く受け入れられている状況を見ると、初恋の嵐は少しだけ登場が早すぎたのかなという気にもなる。レミオロメンを気に入ったあなたならきっと気に入るはずだ。

初恋に捧ぐ

初恋に捧ぐ