OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

BUMP OF CHICKEN「ユグラドシル」

 某巨大掲示板では厨房向けだの言われているけど、僕は好きだ。バンプオブチキン。大体、厨房向けって言うのは音楽に関してさして詳しい知識を持っていない人にも良いって思われるってことでしょう?それって、相当技術がないとできないと思う。
 2004年の夏にリリースされた、バンプの通算4枚目のアルバム。正直、聞き返す頻度はそんなに多くなかったんだけど、聴くたびにいいアルバムだと思える。
 若干クラシックを感じさせるギターのイントロから始まって、M-2「オンリーロンリーグローリー」でロックの爽快感を味あわせる。M-3の「乗車権」は今までにないほど刺々しいナンバー。これのために最初僕はこのアルバムに暗い印象をもっていたけど、すごいいらいらしたときとかは逆に効くし、それにこの迫ってくるような演奏隊はすごいと思う。M-4「ギルド」は一転して穏やかなギターポップ風ナンバー。歌詞の喪失感が良いです。M-5の「embrace」はバンプの優しい面を前に出したナンバー。アコースティック主体の音が良いです。M-6はシングルとしても切られた「sailing day」最初あまりピンとこなかったんだけど、やっぱりこれも旅立つ決意というテーマを伝えるにはこの演奏しかないなと思う。M-7は「同じドアをくぐれたら」。変拍子が特徴的な歌なんだけど、この変拍子によって落ち着かない感じが、逆に追い詰められたけれど前を目指している歌詞にマッチしていると思う。M-8はシングルカットされた「車輪の唄」。このアルバムの中では小品っぽいイメージがあったから、シングルカットされたのが意外だったんだけど、いい曲だと思う。前奏や間奏のケルトっぽいギターがかわいいです。M-9は先行シングルとして2002年の冬に発売された「スノースマイル」。このアルバムの中では若干浮いてる印象もあったけど、いい唄だと思う。バンプはそんなにラブソングの印象がないだけに。ラストで一人になった主人公の姿が印象的。M-10は、今までにないくらい毒のある歌詞が優しげなメロディに載ったためにさらに浮き上がって聴こえる「レム」というナンバー。聴いたあと何かを残す曲だ。M-11は「fire sign」という曲。演奏でパーカッションやベースがすごい遊んでいて、楽しくなる唄。メロディは合唱曲みたい。M-12は「太陽」という唄。よく言われるみたいに、若干引きこもり要素を感じさせる曲ではあるんだけど、それでも最後は一筋の光を見せるような感じがして、名曲だと思う。この曲から次のM-13「ロストマン」へのつながりが最高。「ロストマン」は改めて聴くと相当気合の入った演奏で徐々に盛り上がっていって、壮大な印象すら与える。そして最後はわりとはでめのギター独奏で終わる。
 こう書くと、なんだか壮大でとっつきづらい作品化と思われるかもしれないけど、そうじゃないんだよね。あくまでも佐倉市から出てきた幼馴染バンドが、ストーリー性のある短編集のような作品でデビューして、メジャーデビューしたときにはポップスの作り方を覚えて、それでも芯となるもの(弱者のための/弱者側からの物言い)を持ちながら、一片のファンタジーをつむぎだしたという感じかな。無論、これはコンセプトアルバムではないけど、2004年に生きる人間の暮らしをファンタジーにしたバンドがバンプなんだと思う。後半、若干だれるのが残念だけど。
 あと、シークレットトラックは演奏も力が抜けている感じがして、今までで一番よかったです。

ユグドラシル

ユグドラシル