やまだないと「ero*mala」
やまだないとの1998年に出版した短編集。このころからやまだないとの描くキャラはまるでCharaのごとく厚い唇が特徴となっています。全体の雰囲気としては、フランス映画のようなけだるさとか、CGを用いた線のぼやけが特徴です。
表題作「エロマラ」を読んだ時は衝撃でした。高2でした。やまだないとの描くキャラは、男だとホモ漫画にでも出てきそうな線の薄いボーイとフランス映画直系のジゴロの二つしかないような気がするので、その点はマイナスかもしれません。けど、この作品では、この2つの役割が明確でいいです。簡単なあらすじは、
今から少し未来の世界。トリコは性交渉を持たないと生きていけない体質だ。そんなトリコは売春まがいのことをしながら生きている。そんな中、同じ美大に通うシゲル君と付き合うようになる。しかし、セックスを媒体にして広がる病気が発生し・・・。
表現が結構どぎついのと、セックス賛美主義傾向があるのとで、ダメな人はダメだと思います。ただ、破滅に向かいつつも快楽を求めるトリコたちの姿は否応なしに心打たれますし、「世界中が愛し合ってるみたいで」というのはうまいなと思いました。
ero・mala―Les maladies erotiques
- 作者: やまだないと
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 1997/04/01
- メディア: コミック
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今回紹介した二つの漫画はどっちもはっきり言ってアブノーマルなんで、読む人を選ぶと思います。けど、あえて異常な状況における恋愛を描くことで、人を愛することの本質を描いた作品だと思うので、こんな、純愛すらブームにされちゃうような異常な世界だからこそ読みたい本です。