OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

SINGER SONGER「初花凛々」

 ついに、Coccoがかえってくる。
 数ヶ月前にSINGER SONGER始動の記事を目にしてから、すごいたのしみに待ってた。アーティスト写真やジャケット写真を目にしてから期待は否が応でも高なった。
 そして今日、ようやく聞けた。心底から歌うことを楽しんでるCoccoの姿になんだか胸がジンとした。サビとか、「ハローハローハロー」という歌声の伸びが本当に心をくすぐった。
 私観に過ぎないのだけれど、Coccoの活動休止はやはり「歌いたいことがなくなった」からなのだと思う。Coccoというアーティストは、トラウマだの情念などを表現したいと考える不器用な心、あっちゃんがいて、それを汲み取ってポップソングに仕立て上げたことでアーティストCoccoが完成するというストーリーになっていたと思う。初めて「カウントダウン」のPVを見たとき、中一だったのだけれど、はっきりいって怖かった。ともすれば聞くものを傷つけるような感情の高ぶりを根岸孝旨はポップソングに仕立て上げていたのだと思う。少なくとも「クムイウタ」までは。それが、2年というインターバルを置いて発表された「ラプンツェル」から変わったと思う。表現する感情の幅が、激情から安らぎまで広がったと思う。Coccoを聴いて、純粋に癒される感じを味わったのもこのアルバムが初めてだった。そしてその一年後、活動休止。
 それが去年、くるり岸田繁とともに「こっこちゃんとしげるくん」の名で限定シングルを出した。ケルティックなバイオリンの音が魅力のこの曲は、本当にCoccoが歌うことを楽しんでいるのだなと思った。かつては「歌うことは痛い。嫌い」とまで語っていたのに。
 そして復活。初夏。あったかいからあついに変わる時期。新しい状況に少しばかし馴れて、みんなが自分の色を出し始める時期。SINGER SONGERのジャケットやアー写からも、そのみずみずしさや喜びを歌いたいという気持ちが伝わってくる。2曲目のファンキーなパーカッションが素敵な「Love in the air」も、若干艶がかかった歌唱がすごく愛らしい。
 きっと、Coccoは今日本で一番歌うことを楽しんでいるアーティストだ。

初花凛々 (初回限定盤)

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