川原泉「空の食欲魔人」
最近、川原泉が読みたい熱というのが上がってきている。それは、多分あのほんわかした雰囲気に癒されたいのがあるのだと思う。高1のころ初めて読んだのがこれで、それから高2のころは本当にはまっていたし、漫画も全部読んだ。
川原泉の世界には、本物の悪人は出てこないし*1、登場人物も実際には切迫した事態のはずなのにどこかのんびりしている。いつもの俺なら「そんな世界は実際にはあるはずないのだが」と返すところだけど、この漫画に関してはそう返したくない。川原さんのエッセイつきのイラストが白泉社の「花とゆめ」版コミックにはついているのだけれど、川原さんについて、これを成し遂げてやろうという覇気があるわけでもないけれど、人間として間違ってはいない印象を受ける。登場人物は確かにクラスの人気者やマドンナからはかけ離れた存在かもしれないけど、まったく魅力がないわけじゃない。ただ、男女関係のドロドロとか目標目指しての死闘、苦悶とか、そういったものからは無縁な印象がある。たとえそういった局面にあたってものほほんとしているのだ。ソウイウモノデワタシハアリタイ。だから川原泉の世界を肯定したいのだ。
- 作者: 川原泉
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 1994/09
- メディア: 文庫
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*1:悪役が出てくることはあるけれど、どこか間が抜けている