OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

eastern youth「孤立無援の花」

 イースタン・ユースが好きだ。孤立無援の花、なんてイースタンも粋な表現使いやがる。
 「孤立無援の花」とはアルバムの中の一曲「裸足で行かざるを得ない」(このタイトルも最高!)にはいっている言葉だ。僕がこのアルバムを始めて聞いたときは、エレカシっぽいなということだった。それも、エレカシでさえ難題としていた叙情性と攻撃性の両立をしているような感じが、今にしてみれば、する。
 このアルバムから吉野寿はそれまでのハードコア絶叫スタイルから一転、歌うようになった。吉野寿が1999年のインタビューでエモコアについて、「スノッブ顔して語る連中がいるのに腹が立つ」と語っていた。吉野寿に怒られるのではないかとびくびくして語ると、イースタンこそが真のエモコアだ。お世辞にも吉野寿の歌はうまいとは言えない。それでも、彼らが歌を歌い始めた理由、それは、一人でも多くの人に自分の煩悶を伝えたかったからだ。あわよくばその煩悶を聞くことで救われる人がいるかも知れぬ、そんなところだったのだろう。
 全体を通して、雨の印象がある。詩は心を揺さぶる。「いずこへ」は電車のSEから始まる。吉野の叫びは一曲目から心をかきむしる。「扉」のサビ、「時計を止めてくれ」のところなんか、外は雨が降っている寝床にいる自分を思い浮かべてしまう。昼間の孤独感を描いた「今日」。そしてラストは「木枠の窓」で明日への歩を進める。こんなアルバムはちょっとない。男のアルバムだと思う。「さらばよ、さらば」で過ぎたことを悔やんでる、一見すると女々しい姿も含めて。

孤立無援の花

孤立無援の花