ザ・コブラツイスターズ「蛇の道」

　日本語ロックバンド・コブラツイスターズが2003年にリリースしたベストアルバム。俺が高校のころに活躍していたバンドなんで結構思い入れ深いんですよね。今年、彼らの代表曲「サクラサク」が新録音でリリースされましたね。これはスキップカウズにとっての「赤い手」みたいな存在になるのかなと思いつつ。川畑アキラさんのボーカルがさらに伸びやかになっていてうれしくなりました。
　たとえば、「美しき世界」なんて何の衒いもないストレートなロックだけど、なぜだか耳を離せない。特に耳をひきつけるテクニックがあるわけでもない。ただ、一度聞いたら誰でも口ずさめそうなメロディーラインと、太くて日本語を歌うのに本当に適した川畑アキラさんの声がリスナーの耳をひきつけて離さないのだと思う。
　中には琉球音階やウチナーグチ、三味線を取り入れてみた曲があったり（「甦る人々」など）するわけなんだけれども、この人たちは本当に男気を感じさせるサウンドが魅力だと思うわけで。それはデビュー曲の「運命船サラバ号出発」に120パーセント表れている。間奏の掛け声や、歌謡曲的ではあるんだけれど芯の通ったメロディは聞くたびに背筋がしゃんとする。そのほかにも、声に暖かさを感じさせる「夢の旅人」や、春の名曲「サクラサク」など名曲は多い。本当に彼らが売れなかったのが不思議になってくる。
　けど、彼らってそこまでロックファンの評価が高くないんですよね。これはきっと彼らは、日本語ロックの先人たち、たとえばエレファントカシマシやTHE BOOMなどからの影響を感じさせるわけですけど、そんな先人的に比べてどこか偽者感がすることに起因するのだと思います。彼らはどちらかというとロックというよりJ-POPに近いですね。けど、いい曲はいいと思いますし、彼らのようなバンドが今も活動を続けてくれるのはかなりうれしいことではあります。そのうちJ-POPの土俵から名作を出してくれることを期待しています。

蛇の道~ザ・コブラツイスターズ特撰集~