中島らも「心が雨漏りする日には」
中島らもさんが躁鬱病になって、それを医者とかかわりながらどう戦っていくかを書いた本。これを発表した2年後になくなってしまうわけだけども。
小説みたい、最初読んだ感想はそれだった。全体的に、一時期に比べてギャグは控えめで、気取りが前面に出ているかも。でも、このエッセイを読む限り笑えるエッセイを書いていた時期は割りとうつ気味だったというわけだから、うーんと考えてしまう。
らもさんは、創作のためとかそういったものじゃなく、純粋に気持ちよくなりたいがためにアルコールやドラッグと関係を持つ、純然たるジャンキーだ。それがいいか悪いかは別として、そういった付き合い方の中でも、生きるということの大切さは知っていつつも、ヒューマニズムを掲げることを良しとしない人だと思う。昔のらもさんなら強迫神経症になった医者や、躁が昂じて奇行に走った自分をギャグとして書くんだろうなと思うとさびしくなったけど。
- 作者: 中島らも
- 出版社/メーカー: 青春出版社
- 発売日: 2005/06/09
- メディア: 文庫
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