OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

GRAPEVINE「CIRCULATOR」

 日本の誇るR&Bバンド・グレイプバインの4枚目のアルバム。はっきり言ってこれが最高傑作だと思います。ベーシストの西原の病気による脱退という出来事を乗り越えて製作された本作は、プロデューサーの根岸考旨色が全面に渡っているんだけど、何というか、グレイプバインって何色?と聴かれたら、このアルバムを聴けばわかるよと言いたくなるような、そんなアルバム。
 ただ、初めて聴く作品としては薦めない。グレイプバインというバンドの特色でもあるけれど、全体的に重いグルーヴ、このアルバムはその振れ幅すら大幅に振りきっちゃってるもんだから、ファンにはたまらないけど、同時にいちげんさんお断りみたいな雰囲気を出しているのは確か。シングル4枚も収録されているとはいえ。初めて聴く人は「Here」を勧める。
 とにかく、捨て曲無し。お遊び的なヘヴィロック「Buster Bluster」、シングルにもなったけど、歪んだギターがマニアックな「discord」、リハビリという言葉を思い起こさせる「壁の星」、「叫んでみたのは若さの証明 他に無い」なんて、田中和将節とも言える歌詞が魅力な「lamb」、晩夏を思い起こさせる名曲「風待ち」、イントロから泣き泣きな「Our Song」、イントロのグルーヴが気持ちいい上に歌詞も珍しく問題提起系な「(All the young)Yellow」、ホラー感あふれる歌詞にポリスみたいな演奏が冷たい夏を連想させる「フィギュア」、夏の終わりの夜の海な「波音」、突き抜けたアッパーチューン「ふれていたい」、韻の踏み方が最高なブルース「アルカイック」、乾いた音が印象的な「B・D・S」、コーラスが愛らしい「I found the girl」と、これでもかってくらいの64分。はっ!全部書いてしまった。けど、どの曲もおざなりに扱いたくないくらいの魅力があるんだよ。
 なんか、夏の印象があるんだ。真島昌利が表現するところの「冷たさを内包した夏」。

Circulator(サーキュレーター)

Circulator(サーキュレーター)