OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

Cocco「サングローズ」

 こっこの活動休止前のアルバム。
 今までのアルバムに比べて衝撃度は少ない。穏やかな曲も多いし。あと、このアルバムで初めてこっこはギターを持っている。けど、「風化風葬」や「コーラルリーフ」みたいに、終わりを意識した感じは多い。これもこれで、衝撃を第一とするロック的な視点とは別に、いいアルバムだと思う。
 こっこって、今のようにリストカットが社会問題化する過程で、椎名林檎とともに時代のアイコンとして捕らえる向きもあったアーティストだとは思うけど、結局こっこは幼いころ影響を受けた(と思われる)アメリカのポップスや童謡・唱歌からの影響を受けて、自分の歌いやすいテーマで歌った立派な普遍的なシンガーソングライターだと思う(楽器は弾けないけれど)。活動休止に際してこう言っていたそうだ。「歌うことが好きになったのでやめます」。
 こっこは「クムイウタ」のころのインタビューで、「歌うことは痛い」とかたっていたらしい。こっこにとって歌うということは感情に直結したことだった。こっこの声は面白く歌えば感情をくすぐるし、激しく歌えば激情をたきつける、そんな声だ。そしてSINGER SONGERでは喜びまで歌ってくれた。こっこをみると、人魚のサイレンのことを思い出す。すごいいい声で歌うあまりに近くを通る漁師を海に引き込むって奴ね。リスナーってのは、引き込まれた漁師たちなのかも。

サングローズ

サングローズ