OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

eastern youth「感受性応答セヨ」(2001)

 イースタン・ユースの5枚目のアルバム。2001年発表。この年発売されたアルバムで、僕が一番好きなアルバム。
 なんだか吹っ切れたという表現がピッタリだ。ジャケットの吉野寿の眼差しを見ているとまるで怒られているようだ。シッカリシロヨ。
 この前の年、つまり2000年というのはイースタン・ユース周辺が盛り上がった年だ。極東最前線は集客数を増やし続けたし、ついにはコンピレーションアルバムまで出るほどだった。ハスキング・ビーナンバーガールなども注目を集めていた。今思えばこの二組は純然たる極東最前線メンバーというわけでもなくほかの要素も大いに含まれて入るのだけれど。 ともかくイースタンの3人はそこでブームに惑わされず足場を固めることにしたのではないのだろうか。この年は情勢的にも1999年からのコア系ブームで勢いに乗っていて、バンドの状態も上がり調子であるはずなのにもかかわらず、2000年にリリースした曲が「曇天と面影」と「静寂が燃える」の2曲のみというのにも現れている。
 けど、この「静寂が燃える」は超名曲。まずイントロの緊張感がすばらしいし、サビの歌唱も今までになく吹っ切れている。
 このアルバムはブームとは関係なしにいい曲を作っていくぞという決意が迷いもなく刻まれている。一曲目の「夜明けの歌」の「涙よとまれよ今すぐもう朝だから」なんていう優しいメッセージも決然と放たれている。シングル曲「踵鳴る」もたぶんポップマニアが聞けば唸るような構成になっているにもかかわらず、メッセージはあくまで日本男児の世界だから。
 一番気に入っているのは「ズッコケ道中」。全体を通して爽快にも似た疾走感がこのアルバムにはあるのだけれど、ラストの「すばらしき世界」に向けての疾走が心に残すのは明日へと向かっていこうとする男の姿。「すばらしき世界」の余韻を蓄えた終わり方を聞いたとき、明日も生きていこうと思った。そして、このアルバムを高校生のうちに聞けてよかった、日本人でよかった、イースタン・ユースに感動できる心を持っていてよかった、「感受性応答セヨ」というタイトルを使ってくれたのがイースタン・ユースでよかった、って世界を肯定できた。

感受性応答セヨ

感受性応答セヨ