OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

ビッグ

 授業で教材として映画を観た。で、感想野郎としてはどうしても感想を書かずにはおれなかったので、書くことにした。面白かったし。
映画は「ビッグ」といって、1986年作品。監督はペニー・マーシャル、出演はトム・ハンクス、エリザベス・パーキンス、ロバート・ロッジア。内容は、

小さいことが悩みの12歳の少年デヴィッドは、魔法のボックスにコインを入れて大きくなりたいと願いをかけてみたところ、その翌朝、20歳以上もの大人に成長してしまった!? 家を追い出されてしまった彼は、やがてNYのおもちゃ会社に就職し、子どもらしい発想から数々の新商品を開発し、実績を上げていくのだが…。

以上、はてなダイアリーの「ビッグ (初回限定生産) [DVD]」の的田也寸志さんの解説より引用。

 授業用ってこともあって、多数カットされてて、展開も多少ご都合主義も感じて、その辺少し物足りないところもあったんだけれども、面白かったです。ラストの後味のいい終わり方が好き。あと、トム・ハンクスの演技は、きっと子供が朝起きたらいきなり大人になってたらこうなんだろうなってのが容易に見えるくらいの好演技。表情に子供が透けて見えるんだよね。
 それで、こんなことを考えた。よく子供に戻りたいと思うことは、ある。漫才なんかでもよく枕詞として「最近子供に戻りたいと思うんですよ」なんてあるし。それが受け入れられているってのは、きっと多くの人が共通して思っていることなのだから。物語のヒロインであるスーザンが、ジョッシュ=デヴィッドに惹かれるのも、普段から大人な生活をしているゆえに、ジョッシュの幼児性と一緒にいると、童心に戻れて楽しいというのがある。
 けど、僕らはそれなりに過程を踏んで大人になってきている。
 子供に大人の体力がないのも、自然の摂理としてうまくできているのかもしれない。よく、欠点を指摘する場合としての言葉として「子供」っていう言葉を使うことがある。子供のどこがいけないのか?子供は、十分に社会のルールを知らない。子供は、感情の制御が利かない。子供は、自分のことしか考えられない。以上のようなことが表面化すると、社会が、経済が立ち行かなくなるから、社会人になるものは自分の中の子供を隠していかなければならない。
 けど、子供にも良い側面はあって、この映画でいえば、発想力。ジョッシュが就職する会社の社長はそれを見抜いてジョッシュを重要なポストに置くけど、確かに、競争社会で秀でるための知恵に足を取られた大人じゃ気づかないこともあるのかもね。
 大人の社会に子供のルールを持ち込んだら、っていうifを示したからこの映画は面白いんだと感じた(単純にコメディとして面白いのもあるけど)
 ラストで、子供に戻る前のジョッシュを見つめるスーザンの目が完全に保護者的視点になってるのも面白くて、同時にしんみりするものもあった。多分彼女はジョッシュの中に失われた自分の子供を見ていたんだろうな、って。(78/100)