OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

田辺マモル「ラブコメ」(1999)

ミドリカワ書房も影響を受けたという男性ソロミュージシャンの1999年発表3rdアルバム。
タイトルとジャケットの甘さから手を出すと痛い目を見るアルバム。最初の曲こそ、ラップ調の歌い方と、各地の方言で「好き」という歌詞のサビでコミカルな「好きだっちゅうねん」、フォークロックな曲調で自身の32年の恋愛経験をつづる「プレイボーイのうた」みたいに、笑って泣ける、それこそ「ラブコメ」と呼ぶにふさわしい曲が続くけど、後半は、「歌ってるときだけ俺はその高みに近づける」みたいなシリアスな決意が見て取れる(最後の4行でひっくり返されるんだが、でも歌うことに思い入れのある人間ならきっと心打たれる歌詞!)「俺とシュアーとマーチンと」、手首の傷、裸の写真、何も言ってこない隣の部屋みたいなリアル感が満載のストーリーテーリング(でもこの曲は全体的に前向きなストーリー)「生きててよかった」、そして、最後を飾るのが人を好きになるっていう事の残酷な現実をつきつける「恋はどのように消えていくのか」。「恋はどのように〜」は田辺さんの歌唱法が最後の一滴までやりきれなさを搾り出している感じで、聞いた後しばらくは何も手につきません。
全体を通じて、田辺マモルさんてひとはきっと恋愛至上主義なんだと思う。男で恋愛至上主義っていうとナヨナヨしているなんて思われそうだけど、たぶん、恋愛によって日常が左右される人は確かに男全体で見ると女性よりは少ないかもしれないけど、左右される人の左右され具合はきっと女性のそれより大きいのだと思う。そして、その当人が非モテであるとその触れ幅は倍増される(と、当事者は語る)。(75/100)

ラブコメ

ラブコメ