OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

江口寿史「なんとかなるでショ!」

 伝説の遅筆漫画家・江口寿史が1988年に発表した準短編集。とにかくやりたい放題やってて、スノビズムも80年代の空気も全部真空パックされたみたい。けど、コミックスの構成からか不思議と完成度の高さを感じてしまう。
 ちなみに「なんとかなるでショ!」は角川書店出版の少女漫画誌「ASUKA」に連載されたらしい。この時期の「ASUKA」って、死をテーマにし始めたころの大島弓子さんも作品を発表してたみたいだし、もしかするとすごい雑誌だったんじゃなかろうか。
 実験要素も大きい。あと、多分この作品あたりから女の子をかわいく描くってことに力を向けだしたんじゃないかなと思う。多少くずし絵にしても十分かわいいと思えるような女の子って、この人が一番うまいと思うし。そういったひとつの才能に気づいたから江口さんはイラスト方面にシフトして言ったんだろうし、またそういった流れがあったから今のキャラクターを語る際に「萌え」を最重要時に置く風潮があるんだろうし。
 それと、江口寿史さんの連載で現時点でまともに続いた最後の連載って点でも貴重かも。*1

*1:短編集「爆発ディナーショー」の中に、1989年に発表された、「新しいギャグ漫画家の役割を奪われてしまった。原稿がスランプでかけない」という内容のことを描くエッセイ漫画がある