OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

小沢健二「LIFE」(1994)

 さて、そろそろとりあげますか。オザケンこと小沢健二さんが1994年にリリースしたソロ2枚目のアルバム。
 多分、人生に聴いてきたアルバムの中で、「心のベストテン第一位はこの曲だった」まではいかないまでも、確実に5本の指に入るくらいは好きなアルバムで、このアルバムを聴いて以降「いかにポップであるか」が自分の中の音楽を聴く価値基準に入ってしまった。はい、嫌な奴ですね。
 オザケンって、言ってみれば90年代の象徴でしょ。なんか、不況期であるはずなのにここまでの消費文化を描いて見せた感じとか。CDは1994年当時不況知らずだったわけで、オザケンのこのアルバムもかなり売れたはずなんだけれども。
 時代背景とかそういったのを抜きにしても、このアルバムは好きだ。「東京!」って感じがするし、メロディは最高だし、歌われている内容がポジティブなのも。
 ここまでアッパーな思考の音楽を楽しめるのは、幸せな人と不幸な人だけ、っていってしまえば全員なんだけど、聴いてて幸せになれる音楽はみんな好きだと思う。けど、1994年って僕はまだ物心ついてないころだけれど、あまり明るいニュースがなかったころのように思われる。だけど、いやだからこそ当時は週刊少年ジャンプはバカ売れしていた気がするし、ミリオンセラーも今では考えられないほど生まれていた。多分、人々の消費が現実を一時忘れるものとしての娯楽に向かっていたんだと思う。
 きっと多分不幸な人のほうがこのアルバムに対する思いは大きいよ。ここまで幸せに包まれた音やアレンジは世界中の音楽を見回してもちょっとないもん。このポップの快楽は、ほとんどドラッグだよ。
 一番好きなのは「おやすみなさい!仔猫ちゃん!」なんだけど、この曲のラストの多幸感は只者じゃないと思う。ずっと聴きつづけていたくなる。
 話変わって。
 2001年ごろ、なぜか雑誌(主にイノマー主催の企画だけど)でThe ピーズがよく取り上げられるようになって、その企画で、イノマーさんと千秋と、実は誰だったか失念してしまったんだけど多分ダイノジの大谷さんだったと思う、そのダイノジの大谷さんとで対談する企画があって
それで大谷さんが語っていたんだけど、「小沢健二さんは帰って来なくても他にすることを見つけてそうなので大丈夫そうだが、The ピーズは帰ってこなくてはだめだと思う。」とのこと。
 そして、オザケンは2002年に、The ピーズは2003年に復活したわけだが、オザケンは結局また沈黙してしまいもうすぐ4年になる(「刹那」あったけど)。ピーズは今みたいにニートが社会問題化している中で、絶対必要な存在になりつつあると思う。
 さて、オザケン。もちろんキラキラしたポップスにせよ、泥臭いソウルにせよ、夕暮れをイメージさせるジャズにせよ、夜をイメージさせるR&Bにせよ、作ってくるからにはきっと音楽的にはリスナーを満足させるものを作ってくれると思う。だけど、二度と「LIFE」みたいなアルバムは作らないんだろうし、作ってほしいとも思わない。また動き出してほしい気もするし、動き出すのが10年後とかになってもかまわないかな、ってのが今の気持ち。

LIFE

LIFE