OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

椎名林檎「無罪モラトリアム」(1999)

 椎名林檎のファーストアルバム。1999年リリース。
 僕にとって椎名林檎の音楽は金曜日の夕暮れの音楽だ。このアルバムでも何曲か夕暮れの情景を歌った曲があるけど、なんだろ、夕暮れの情景ってのは日本人の琴線に否応なく触れるのが理屈抜きであって、それが椎名林檎の方向性と合致した結果そう思ったのかもしれない。確か「勝訴ストリップ」は2000年3月31日リリースで、金曜日だったと思う。
 もう、椎名林檎の与えた影響は触れるまでもないでしょ。けど、椎名林檎自身はセカンド以降は実験路線に行ってて、サードでそれは結実し、現在は再びバンドサウンドに戻ったような、けど実際やってみればわかるように、微妙に日本の一般的なバンドの路線とは違うロックといったものを「東京事変」でやっている。だから、一般的な椎名林檎のイメージって言うのはこのアルバムだと思う。すでに多くのフォロワーを持ち、もはや椎名林檎というジャンルができた感があるけど、椎名林檎というジャンルを説明するならば、歌謡曲からの影響をもとにグランジやハードロックなどギターを用いた洋楽ロックのテイストを加えたもの、ということになる。そして当の椎名林檎はこの定義をセカンド以降はうっちゃってるわけですが。
 信者といわれても仕方ないけど、このアルバムは完璧なんだよね。第一に曲がいい。林檎時代のほかのアルバムも聞くたびに全部、「うん、これだ!」って思うし、東京事変もやっぱり聴いてて楽しいし、ってことで、きっと椎名林檎の音楽が好きなんだよ。本質的に。どこが好きかって、きっとインテリ性かなと思った。意味があるような文学的な歌詞と、日本人的なメロディ、万華鏡のように変わる歌唱法、そういったものをひっくるめて椎名林檎は自分を偶像(アイドル)化していたのだと思う。このアルバムは、アレンジも歌詞も一番素直で、だからこそバンドでコピーしてみたくなるのだと思う。

無罪モラトリアム

無罪モラトリアム