OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

ケイゾク

 1999年の1月から3月にかけてTBSで放映されたドラマ。枠は金曜の10時から。堤幸彦演出。出演は、中谷美紀渡部篤郎竜雷太鈴木紗理奈など。
 まず特筆すべきは、映像感。日本のドラマにはあまりない手法を使って、描かれる刑事ミステリーは、ザッピングなんかをしていたら必ず手を止めてしまうだろう。
 そして音楽。緊張感のある場面でかかるトランペットのインスト、コメディ入ったシーンでかかるノリのよいギターなど、画面と音楽が本当にマッチしている。
 基本的には真面目、シリアスなんだけれど、要所要所で入る小ネタがよい。思わずクスって笑ってしまう。ミステリーのトリックとしては、素人目に見ても粗が目立つけど、柴田純という人の天才を浮かび上がらせるアイテムとして考えれば、さほど気にならない(でも実はいくつかこれはないだろうってトリックもあったが、テレビドラマだから仕方あるまい)。そして、柴田純の天才が発揮される謎解きの場面は、まさにカタルシスだ。
 そして、キャラクター。中谷美紀演じる柴田純は、IQ199あり、推理の天才ではあるが一般常識皆無、平気で3日くらい風呂入らないっていう、女性が演じるとは思えない設定、けど、そんなありえない設定も自分のものとして演じこなしてしまう(ときどき演技過剰かってところはあるけど)中谷美紀はさすがだ。渡部篤郎演じる真山徹は、とにかくイッちゃってた。コメディシーンもわりとよかったけど、妹を自殺に追い込んだ犯人を捜す真山の姿は、言い方は悪いが鬼のようだった。渡部篤郎の演技に関しては時々せりふが聞き取れないところがあるのは残念だけど、この渋さがなけりゃケイゾク後半の魅力はおそらく半減していただろう。
 とにかく、ラスト3回くらいの先が読めない感じがよかった。エヴァかってくらい炸裂した世界観。徹底した演出、一つ一つが心に残るせりふ、渡部篤郎の狂気のはいった演技、中谷美紀のかもし出すはかなさ、すべてが混在して独特の世界観を作り出していた。

ケイゾク(1) [DVD]

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