OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

カルネ

1991年公開。フランス映画。 監督:ギャスパー・ノエ
出演:フィリップ・ナオン、ブランディーヌ・ルノワール、フランキー・パン
 

 カンヌなどでも高い賞を受けたフランス映画なんですけど、冒頭から結構エグいシーンがあって、見る人を選ぶ作品だと思います。40分ほどの短編映画で、一言もしゃべらない娘がまるで自分の感情をたくしたようなテレビの中の特撮のマスクマンやケネディの台詞、あるいはラジオの音楽の載せ方がよかったと思います。
 内容は、娘を溺愛する馬肉店の親父が、溺愛するあまりに殺傷事件を起こして、っていうはなし。物語の大半が親父(フィリップ・ナオン)のモノローグで進むんだけど、観てる側としては狂ってると思うんだけど、確かに愛するものを傷物にされたら誰だって怒り狂うだろうし、正常な精神の持ち主だってふと誰かを殺したいなんて思ったりすることもあるだろう。反社会性というのかもしれないけど、精神の中は自由で、だからこそ精神世界は危険なのだ。
 低予算で作られたからこそこの安っぽさ、主人公たちの家庭の貧乏さは強烈なのかもしれない。だから、すごく空気が、馬屋の血のにおいや、曇った空のかもし出す憂鬱な感じ、が伝わってきて、多少うつになった。
 それと、フランス映画って、変態を描くのがうまい。これはわりと変態性を真正面に出している感じはするけど、「仕立て屋の恋」にしろ「ジュテーム・モア・ノン・プリュ」にしろ、ある面では変態なんだよね。それをなぜか知らないけど、上品な空気感で観せるのは、フランス映画だからこそという気がする。
 いろいろ書いたけれど、わからなかったところも多々あるのも事実。もう少し年をとったらわかるのかもしれない。

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