OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

松浦亜弥「ファーストKISS」

 日本の有名なアイドル、あややこと松浦亜弥のファーストアルバム。2002年発表。これはもう、アイドルというのをひとつの音楽のジャンルとして定義した上でそのジャンルの金字塔として最高のものを作り上げた最高傑作だと思います。つんく♂のこのアルバムに対しての気合の入れ方は違いますね。
 とりあえず、2001年にリリースされたシングル4曲が松浦亜弥のイメージを規定するのにこれ以上ない役割を果たしています。2001年のベストアーティストは松浦亜弥だったんだなと改めて実感します。
 新生活への不安と淡い期待を瑞々しいアレンジで描いた「ドッキドキ!LOVEメール」。1stと路線的に同じとはいえやっぱりいい曲はいい曲で、感想の語りが照れ臭い「トロピカ〜ル 恋して〜る」(この辺、タイトルパソコンに打ち込ん出るだけで恥ずかしくなってくる。よくこんなタイトル考え出せたものだと思い、その意味でつんく♂は天才なのかも)。切ないアレンジと、リアルな歌詞の「LOVE 涙色」。そして、鴨谷個人的にはあややベストソングだと思います、温かみのあるアレンジが秀逸な「100回のKISS」。この4枚のシングルがあったから松浦亜弥は2001年の若干混乱気味だった音楽シーンで埋没しなかったのだなと思います。松浦亜弥には特にモーヲタとかでもない普通の音楽ファンも多いのもこの時期のリリースが大きいのでしょうね。
 アルバム曲も見事で、「東京」な歌詞が秀逸で、ちょっとオザケンを連想したりする「オシャレ!」や、パンクナンバー「絶対解ける方程式X=Heart」や、サンバアレンジの卒業ナンバー「笑顔に涙」、フワフワしたアレンジがかわいい「そういえば」、R&Bナンバーの「S君」、このアルバムが、この時期の松浦亜弥を真空パックしたのだと実感させるには十分な歌詞の「私のすごい方法」、ラストを飾る、オーケストラアレンジが切ない「初めて唇を重ねた夜」。捨て曲は一曲も無い。
 惜しむらくは、このアルバム以降ハードルが高めに設定されたこともあってか、いまいちいい曲にめぐり合えてない印象があること。「気がつけばあなた」は久々に来たと思ったんだけどね。
 一言で言えば、このアルバムは青春のアルバム。こんな少女漫画のようなキラキラした青春を描いたつんく♂は、きっと恵まれない青春を送ったに違いない、なんて妄想する。
83/100

ファーストKISS

ファーストKISS