OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

チルソクの夏

監督:佐々部清
出演:水谷妃里(遠藤郁子 )、淳評(安大豪)、上野樹里(杉山真理)、桂亜沙美(藤村巴)、三村恭代(木川玲子 )、 高樹澪(26年後の郁子 ) 、山本譲二(遠藤隆次 )、金沢碧(遠山光子 )、田山涼成(寺田先生)、田村三郎(岡林先生)、谷川真理(26年後の真理)、 竹井みどり(26年後の巴)、岡本舞(26年後の玲子 ) 、イルカ(清水先生)、夏木マリ(スナック「こらさ」のママ)
 2004年公開。
 ストーリーは、舞台は1977年。7月7日に釜山で行われた下関・釜山親善陸上大会に親友とともに出場した郁子は、そこで韓国の高校生・安くんと出会う。1年後の七夕、韓国語でチルソクにまた会うことを約束した二人だったが、当時は現代よりも韓国に対する偏見が強く、親に交際を反対されてしまう。
 うちの親にいたっては韓流ドラマ狂いなんていう現代の状況では考えられないほど、当時の隣国に対する風当たりは強かったのだと実感させられる作品。僕はこのことに関しては勉強不足なんで、なんともいえないが、安くんの言葉「僕らの世代まで憎しみあうなんておかしいよ」に現れていると思う。
 ただ、この作品は、むしろ女同士の友情に焦点が当てられているのかなと思った。全体を通してかなり「女の子〜」している作品で、メルヘンチックな部分が多いんだけど、その視点から日韓の断崖を描いていて、この作品からはあまりメッセージ性を嗅ぎ取らないほうがいいとは思うけど、かなりリアルだった。今の僕は前述したとおり母親が韓流狂いだったり、友人に韓国のことを研究している人もいたり、それどころか友人に韓国からの留学生がいるという状況で、むしろ一番近い外国だと思ってた。韓国語を勉強したこともあるし。けど、どこかに偏見を持っていた時代というのはあったのだし、それは歴史によるものだから、そういったことについて知らなくてはならないなと思った。クライマックスの二人が話す場面大好き。
 映画の話に戻ろう。
 この監督の撮り方って、どことなく画面全体が暗い印象があって、それは実際日本映画が欠点とされてきたところなんだけれども、むしろこの監督はそれを日本映画の特色と捕らえて、あの時代の映画がそのまま進化を続けていたらこうなっていたに違いない、なんて言う過程で撮られた映画という気がする。青春映画はいいね。あまり明るくない青春を送った僕だから特に。釜山に向かう船の中のあのシーンだけでも名作だよ。
78/100

チルソクの夏 特別版 [DVD]

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