木尾士目「五年生」
「四年生」の続編。「四年生」で描けなかったテーマを改めて描いている。というより、「四年生」がせいぜい主役の二人だけで構成された劇なら、こちらは劇団員を増やした本格的な演劇といったところか。個人的には、主役の二人が互いのうそを暗に責め合いそのさなかで自分でも気づいてなかった醜い部分に触れるという部分(5回にわたって描かれている)は名場面だと思う。名展開というべきか。あと、主人公にその後絡んでくる悪女は、本当になんでこんやいやな奴出すのとおもったほど腹立った。
木尾士目の漫画って、おそらくは「げんしけん」以外は広く語り継がれることもなさそうな気がする。現に、完成度が高いとはあまりいえないし。だけど、心に未処置の傷があって、その膿を同じような膿を持っている人に処置法を聞き、んなもんないと一刀両断される愉しみみたいなものを持っている人の間で語り継がれるだろう。
あと、きっと木尾士目は完全な、底からのオタクってわけじゃないんだろうなと思った。
52/100
- 作者: 木尾士目
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/01/20
- メディア: コミック
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