タイガー&ドラゴン
2005年の4月から6月にかけて放送されたドラマ。脚本は宮藤官九郎で、主演は長瀬智也と岡田准一。
実はクドカン作品はまだ映画を数本と、ドラマだとこれと「池袋ウエストゲートパーク(しかも途中まで)」しか見たとこなくて、ドラマファンとしては失格なのだけれど、これだけは言える。文句なしで面白かった。
落語ブームと言われ、マスコミが祭り上げた感はあるにせよ、落語はこのドラマ放映からしばらくはブームだったのだと思う。大江戸タイフーンとか、追い風はあったし。
落語ってのが「言葉と最小限の動きだけで」(第9話「粗忽長屋」より)物語を伝えるものであり、それを下敷き・本歌取りにして、主人公たちの悩む姿や、人情話を描くと言う手法、それも落語や笑いへの愛をひしひしと感じるもので、中にはハズレの話もあったけれども、基本的にはどれも最高級に構築された作品となっていた。こういったドラマが増えてくれるといいな。
ぼくは基本的にコメディの人情話でしか泣けなくて、それで思った。虎二の人生ってかなり悲惨だ。オブラードに包まれてはいるし、物語を通して明るくなっていった虎二からは想像もつかないけれども、かなり悲惨な人生を送ってきた。
そんな人生を上向きに変えたのが落語との出会いで、それの総決算とでも言うべき最終回の「子は鎹」は最高だった。「子は鎹」ってもとの落語もかなり泣けるのに、それをここまで思い入れの強い、感情移入しまくりのキャラクターにやられると、ねえ。
それと思った。クドカン作品って、割りと悪いやつはとことん悪く、悲惨な末路をたどったりする。基本的な登場人物は多少虫が好かない人間はいてもいい奴がほとんどなのだけれども。
「タイガー&ドラゴン」は人情話なだけに、人死にが出るのはどうかと思ったけれど、まあ、それがクドカンの持ち味ではあるから。下ネタとバイオレンス。
クドカン脚本の欠点はあと、女性がいまいちうまく描けないこと。「花とアリス」で好演を魅せた蒼井優はもう少しうまく使ってほしかったし、伊東美咲(メグミ)の使い方ももっとよくできたような気はする。ゲスト出演の薬師丸ひろ子は良かったけれども。
とりあえず、これにて。
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