石田衣良「池袋ウエストゲートパーク」
石田衣良さんのデビュー作。1997年に発表され、オール読物推理小説新人賞を受賞している。2000年にはドラマ化しており、こちらも名作として語り継がれている。
とにかく文体がかろやかで瑞々しいというのが特徴。マコトという雄弁な語り手から直接話を聞かせてもらっている印象がある。
ドラマを先に見たせいでどうしてもマコトは長瀬で、タカシは窪塚で連想してしまうのだけれども、マコトはともかくタカシに関しては相当違和感があった。読み進めていくうちにマコトは頭の中で別の像が形成されていったのだけれども、この辺はそのうちドラマ版を語るときにまとめて語ろう。
それと、連想したのは景山民夫さんの「トラブルバスター」という連作小説。トラブルシューターのマコトとの共通点が多いのも事実だけれども、やはり最大の共通点は読み終わったあとのスカッとした感じだろう。
それと、池袋という街の感じ。池沢夏樹さんのあとがきによると、新宿や渋谷が腐敗しきった危険な街であるのに対し、池袋は腐れゆく街であり、かつ若者の今を描くために東京からの適切な距離がある、とのことらしい。僕は東京をほとんど知らないので、この小説を読んで東京を連想するしかないのだけれど。
67/100
- 作者: 石田衣良
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2001/07
- メディア: 文庫
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