OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

オキナワノコワイハナシ4

 琉球放送製作のローカル番組。
 内容は、沖縄の文化をベースにしたホラードラマが「世にも奇妙な物語」のようなオムニバス型式で三本。

・煙が目にしみる
 3本の中で一番好きな作品。シンプルさゆえに脚本の良さが冴えていた。
 粗筋は、骨董品好きの青年、ある日、旧型の電話に電話がかかってくる。「オレオレ お金が足りなくなったからウチカビ*1燃やしてくれないか(実際は沖縄方言で)」という、どこかできいた詐欺のような電話がかかってきた。何だかんだ言いつつもその声と意気投合した青年だったが、ある日その声に、青年の持っている骨董品に悪霊が取り付いているといわれる、というもの。
 沖縄版「着信アリ」みたいな内容に、悪霊の描写が「リング」の貞子っぽかったりと、オマージュ精神も感じたけれど、ぼくが見て育った沖縄の風景には一種のオーラが漂っているような気がして、普段見るホラーより怖さが1.5倍程度は上増しされていた。オチのつけ方もよかったし。

・ムーンドライブ
 主人公は男3人、女1人の若者団体。4人は怖い話で盛り上がっていた。ある時、女がある道に立つ交通整理員の話をする。その整理員は事故で死んだのだが、それにも気づかずにずっと交通整理をし続けているという。女は3人に、そのスポットに行ってみようと誘いかける。なお運転は男の1人で一番年上の川満先輩という方である。
 場所に着いた。川満先輩は車に一人残り、3人で見に行くとこになった。ここで、男の1人があることに気づく。その交通整理員の話をしていたとき川満先輩はトイレに立っていたはず、なぜここまで道にも迷わずこれたのか。
 
 こんな粗筋なのだけれども、実はよくわからなかった。怖くなりそうで、オチはギャグなんだけども。だけど、4人の会話とか実際に沖縄の若者ってこんな感じだよなあなんて思った。

清明
 主人公は本土出身の嫁。夫の家族のところに遊びに来たが、清明*2の準備で忙しく、主人公も妊娠中のため家で留守番することとなる。夫は、そのうち姉(嫁にとっては義姉)がつくはずだからそれまで待っていてという。主人公が一人で待っていると同じく妊娠中の女が現れる。主人公は義姉だと思い世間話をするが、様子がおかしい。そんなときに夫から連絡が入る。なんと義姉はお墓のほうで合流したという。するとこの女性は・・・。
 このオムニバスには一貫して「清明祭」という共通点があったとこが明らかになる一片。「煙が〜」はウチカビを焼くってこと、「ムーンドライブ」には「俺明日しーみーだばーよ」というセリフがある。
 一瞬「呪怨」の悪夢がよみがえった。とにかく、妊婦がひどい目に合うって話はやるせない、なるべくならば一生触れずにいたい。実際に、作品的評価としても「呪怨」からの影響は感じられた。霊が現れるシーンなんてまんまだし。
 ただ、やはり沖縄の家屋のまがまがしさが怖さを多少上増ししていたのは事実。
 ラストで余韻を残したのは正解。あんまりひどい目にあって欲しくなかったし。

 全体としてジャパニーズホラーからの引用(パクリに近いけど)が多いのが気になったけど、沖縄という舞台でこれをやるのに意味があると思う。再放送とかで思いもかけない時間(ぼくの場合は夜中だったが、夕方とかでもOK)にやっているのを観て、なんか沖縄という場所の呪縛を感じるというのが、この番組への最適の出逢い方ではないかと思う。

*1:沖縄では墓参りの際にご先祖さまにお金を送るためにウチカビと呼ばれる紙を燃やす風習がある

*2:清明祭とは、通称しーみーと呼ばれ、旧暦3月の「清明の節」に行う祖先供養の祭。親戚一同が会して行う。