OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

吉本蜂矢「うさうさにゃんにゃん」

 寡作の天才ギャグ漫画家、吉本蜂矢の漫画。1996年(今から10年前!)にヤングキング誌に連載され、それから5年の月日を経て2001年にようやく単行本化されたという、伝説的な出自を持つ作品。
 それにしてもすごいタイトルだ。ぼくが作家なら、代表作「うさうさにゃんにゃん」とは言えない。
 とにかく、当作家の「デビューマン」が最高で、呼吸困難になるくらい笑った。それで、この作品も「デビューマン」ほどの破壊力は無いにせよ、笑った笑った。
 この人の笑いって、宮藤官九郎に近い気がする。1980年代からの影響の強さとかが。あと、マンガとしての間の取り方は稲中に通じるかな(連載されていたのがほぼ同じ時期だし)。だからそのへんを好きな人は必ずはまると思う。
 簡単にあらすじを、姉御肌の大金持ち・サクラ(女子高生)と、ゲイバーを営む一家に育ったフブキ(女子高生ただしオカマ)は大の親友同士。サクラは同じく大金持ちの武富士に付きまとわれていて、フブキはフブキのことをオカマとは知らない彼氏、北川くんと付き合っているが、女同士で遊ぶのが楽しいという関係。ある日、クッキーを持ってきてくれた典型的な乙女・B組のみかちゃんに二人同時に一目ぼれしてしまったからさあ大変。
 こんな感じで、だんだんキャラクターが壊れていって、まったく先の展開が読めないストーリー(行き当たりばったりで書いている可能性はあるが)は圧巻。連載で追っていたら素晴らしかっただろうな。惜しむらくは、どんどん収拾がつかなくなっていって、8話で完全に破綻してしまい、そのまま連載は中断し未完になっているところ。
「デビューマン」が一話完結なのに対し、この作品は全体としてストーリーを作っていったということで、同時にストーリー構成に難ありという吉本蜂矢の欠点を出してしまった作品であるけれど、ここまではちゃめちゃに出来る作家は他にいないだけに、吉本さんにまたこの手のマンガを書いてほしいな。クドカンが受け入れられた今ならもっとやりやすいと思うから。
62/100

うさうさにゃんにゃん (ダイトコミックス)

うさうさにゃんにゃん (ダイトコミックス)