OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

伊坂幸太郎「陽気なギャングが地球を回す」

 伊坂幸太郎さんの3冊目の本。ジャンルはクライムサスペンスといったところでしょうか。
 前半は読みづらいところがいくつかあって、何度もページを戻したりしました。この人の特徴なのかもしれないけれど、地の分で人物の説明をあまり行わず、登場人物にその人物像を語らせることで少しずつその人物の輪郭がはっきりしていくような感じがあって、それに慣れるまで少々時間を要した。また、人物の外見的特徴をほとんど描写していないのも注目かな。
 ここでは特殊能力をもった人物4人による強盗計画の顛末が描かれる。少々活躍が成瀬と響野に偏っている気がしないでもない(「涼宮ハルヒ」シリーズでいう長門への偏重に近い)。久遠の活躍は少ないし、雪子も特殊能力を生かすというよりは物語を進める上での重要な役割を持つ登場人物としかいえないし。
 ただ、こんなことを考えた。日本において成功率の低い犯罪といえば誘拐と強盗だ。その二つのうちどっちかといえば成功しそうな強盗を完遂するにおいて必要なものって何だろう。腕っ節の強さではないはずだ。必要なのは、警報ベルを鳴らさせないための手立てと逃走方法だ。武器なんて飾りでもかまわない。ただそれが本物として通用すればよい。
 そんなわけで、彼らのとった作戦は、おそらく完璧だったのだと思われる。
 ラストの伏線が全て収拾される様子は素晴らしかった。
78/100

陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)

陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)