OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

蒲田行進曲(注【ネタバレ含む】)

1982年。
監督:深作欣二 製作:角川春樹 原作・脚本:つかこうへい 音楽:甲斐正人 プロデューサー:佐藤正夫斎藤一重、小坂一雄
風間杜夫(銀四郎)松坂慶子(小夏)平田満(ヤス) 高見知佳(朋子) 原田大二郎(橘) 蟹江敬三(監督) 岡本麗(トクさん) 清川虹子(ヤスの母) 千葉真一(?) 真田広之(?) 志穂美悦子(?)

 そんなわけで蒲田行進曲のレビュー。
 粗筋。「新撰組」撮影中の京都の撮影所。大部屋俳優*1のヤスは土方歳三役の銀四郎に師事していた。そんな中、銀四郎が孕ませてしまった女優・小夏をヤスにひきとってくれないかと話を持ちかけたところから話しは始まる。小夏の出産費用のために今までにも増して仕事に励むヤス。対照的にライバルに差をつけられ始める銀四郎。そんな折にヤスはカットされる予定だった「新撰組」ラストの階段落ちシーンを、ヤス自身が落ちることでやることを提案する。確かにそのシーンが完成すれば銀四郎にとっては最大の見せ場になるが、同時にヤスの命も危ない。自分で言い出したこととはいえ、ヤスは死を覚悟し、自暴自棄になっていた。そして、本番の日を迎えた。
 実はラスト近辺のヤスが自暴自棄になるシーンはそんなに好きじゃないんだよなあ。あの心優しいヤスが、と思ってしまって。けど、銀四郎に平手打ちされて、元に戻ったヤスの姿を見て納得したりした。この一種SMっぽい関係性が微笑ましくて、この映画の雰囲気をよいものにしているのだなと思った。
 よく、スターに必要なのは演技力ではなく、オーラだといわれる。スターと大部屋を分けるのはなんだろう。
 ラストでヤスを殺さなかったのも、この作品がフィクションである上での強みだ。殺さないで子供と対面させることによって、多少のリアリティは薄れるし、感動も下手したら安っぽいものになりかねないけど、同時にエンターテイメントとして最大の昇華を与えてくれた。だから、最後の最後にわざわざこれはフィクションです、なんて銘打つような真似したわけだし。
77/100

蒲田行進曲 [DVD]

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*1:時代劇での斬られ役などのチョイ役俳優を指す。楽屋が大勢で大部屋に集められているところから