OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

aiko「彼女」

 アイコの7枚目のアルバム。2006年発表。
 夏にアルバムをリリースするのは2001年の「夏服」以来5年ぶり。曲数や収録時間も過去の作品の中では一番多い。
 個人的にアイコの曲って一曲一曲が密度あるから、50分台くらいが一番楽しめるような気がするんだけど。
 とりあえず、ファンの贔屓目かもしれないけど、感想を。
 いきなりこのアルバムに収録されてない曲の話からで悪いけれど、アイコの2枚目のシングル「ナキ・ムシ」の歌いだしはこうだ。「この部屋で5分の出来事」。この曲に代表されるように、アイコの曲は、ものの五分くらいに思ったことを歌詞にしたような、情景を思い浮かべやすいものが多い。あまり曲でひとつの完成されたストーリーを語ろうとしないといったところだろうか。そんな5分の思い事が、今作でも14曲綴られている。
 それで、アイコの夏のアルバムでは「夏服」でも、夏真っ盛りのカラフルな感じよりも、残暑で過ぎ去った恋を思っているようなそんな印象があった。「夏服」よりもリリースタイミングとしては秋に近い今作でも、雰囲気は夏の終わりに近い感じがする。*1
 個々の曲も、似たり寄ったりのポップスが多いヒットチャートシーンに置いて確実に存在感を示す高水準のポップスが入っていて、目新しいものはないけど何回も聞いて覚えたくなる。「キラキラ」が突出しているくらいで、決して派手さはないけど、良質な作品。
 けど、秋が来るまでに毎日リピートしてしまうのだと思う。聞けば聞くほど、半音階や16部音符の使い方には心のゆれが感じられるし、シングルナンバーではあるけどサビで突然スカになる「雲は白リンゴは赤」とか昭和歌謡風の「ひとりよがり」みたいに変な曲は入ってるし。ハッピーな雰囲気の「キスする前に」の後にあきらめ切ったようなボーカルの「深海冷蔵庫」がきた時はaikoのアルバムで初めてゾクッとしたし。「瞳」はここ数年のaikoの中でもトップに近いミディアムバラードの名曲だし。で聴きどころはやっぱり満載。
 アイコの作品は季節の風景にしっくりくるようになるまで聞くべし。

彼女

彼女

*1:余談だけどaikoのナンバーで夏の真ん中の季節を連想させるのって曲だと「花火」と「アンドロメダ」だよな