OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

バトルロワイアル

 深作欣二監督の遺作。原作は高見広春の小説。2000年公開。
 僕は1984年生まれで、これが公開されたとき16歳、R指定がかかっている作品なので、これを公開当時観ることができた最年少の世代ということになる(翌春に卒業した1個下の学年も観ることができたが)。ちなみに、僕には1個下の弟がいて、この映画の話をよくしたことをおぼえている。
 それで、思うのだけれど、この映画は1984生まれ前後の共通体験的映画だと思う。数日前に取り上げた相米や大林の映画なんかはきっと1960年代生まれの人たちの共通体験映画なのだろうけど、僕たちの世代でそれの役割を担った作品は少なく、せいぜいこれくらいだと思う。
 平均的な1984年生まれの男子は、小学生の頃黄金期を迎えていた週刊少年ジャンプを読んで日曜日にはダウンタウンのごっつええ感じで笑い、中学に上がるか上がらないかの頃に「金田一少年の事件簿」や「サイコメトラーEIJI」などマガジンの漫画原作のドラマを観て、そして高校上がるか上がらないかの頃には「池袋ウエストゲートパーク」や「トリック」などの堤幸彦演出のドラマを観、そして友達みんなでバトルロワイアルを観にいったのである。大幅に脚色はあるが、同い年の男子なら重なる部分があるんじゃないかと思う。
 この前、久々に観たら、意外なほどに栗山千明の出番が少ないことに驚いた。後々に語り草となるバトルシーンの迫力は流石だけれど、基本的には棒読みだし、あくまでも栗山千明ってそのビジュアルイメージにほれ込む人が多い素材なのだと思った。
 それで、思ったのね。栗山千明って、割りと被虐者的なイメージだって。この作品の中でサディスティックを担当しているのは柴咲コウ安藤政信だし(あとビートたけし。マジ怖すぎ)。栗山千明の目や、細身の体はむしろマゾヒズムを感じる。だから、昨日まで普通に話していたクラスメイトと殺しあわなければならないという不条理性を最も体現していたのは栗山千明とも言える。

バトル・ロワイアル 特別篇 [DVD]

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