ハッシュ!
別に戦争映画やメッセージ性の強い映画を否定するわけじゃない。でも、たいていの映画論評では、戦争だの在日だの問題意識を掲げる作品ばかりがこぞって高評価だ。
そういった映画って、もちろん出来のいいものもあるけど、たださあ、そういったことを絡めなくちゃ映画を語れない人ってすごく可哀想だと思う。作った人の問題意識にばかり目が行っちゃって、肝心の内容に触れられない、なんてことも多々あるし。映画なんて所詮エンターテイメントだ。2時間楽しめればそれでいいじゃないか。アカデミックな気分に浸りたいなら本を読めばいいし。最近の「大日本人」の風評を聞くとそんなことを考える。
そして、この映画。橋口亮輔という、デビューして15年経つのに未だに3本しか映画を発表していない監督さんの作品なんだけど、これがとてもおもしろい。具体的に言えば、すごく自然で、大事なことを言ってるはずなのだけど全然名言に思えない台詞とか、ディティールにこだわったところとか、そして、一番の見所はこの作品の随所に出てくる会話劇だ。長回しで撮られていて、最初はだるかったけど徐々に、まるでこの会話に参加しているかのような緊張感が伝わってきて良い。
一応、カンヌに出品されたり、年間ランキングでもかなり上位に入ってきたりと高い評価を受けているこの作品だけど、監督自身がゲイであることをカミングアウトしているとか、そういったわかりやすいセンセーショナルな話題に目が行きがちなのだよね。ゲイを題材にしたのはそれが一番身近にあったからだろうし、いくら近作3つがゲイをテーマにしているからって、ね。
この作品は楽しい。それはエンドロールが始まって流れるボビー・マクファーリンに象徴されている。
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