森博嗣「有限と微小のパン」
森博嗣のS&Mシリーズの9作目にして最終作。
ページ数も多く、とにかく読み進むのが遅くて、思ったより時間がかかってしまった。もしかするとハズレかなと思うくらい、わけのわからない殺害現場状況だったし、建築学科ならぬぼくには部屋の位置関係をつかむのに一苦労だった(あまり意味はなかったのだけれども)。
そして、これはおそらく作家人生で1回しか使ってはいけないトリックだろう。てか、もうこれミステリィじゃないな。真賀田四季という、常軌を逸した人物の価値観を描き出すことそれ自体が目的になっているんじゃないだろうか。とはいえ、それを書き連ねてきたからこそこのトリックは許される、というのもあるし。
この人の作品読んでいると、あらかじめ公式みたいなのがあってそれに西之園萌絵や犀川創介やらの行動を当てはめているような気もしてくるのだけれど(西尾維新にもそれを感じる)、かといってその公式を導き出すには、おそらくはぼくの脳ミソじゃ足りない。
部分部分に見られる萌絵の独白というかたちのポエムを思い起こさせるような書き方はあまり好きじゃない。犀川の四季博士に対する感情も?だったし。
とはいえ、この人の作品は基本的には好きなので、まだ読んでいきたいと思う。
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/11/15
- メディア: 文庫
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