Fishmans「空中キャンプ」
フィッシュマンズが1996年に発表したアルバム。
さて、フィッシュマンズについて語るとなると少し構えなくてはならないな。
ぼくがフィッシュマンズを知ったのは1997年のことで「MAGIC LOVE」がきっかけだった。第一印象は、 「弱い」 ということだ。
事実、今でもそうだと思っている。
フィッシュマンズのよさってのは、それこそ「弱さ」にあると思う。強い風が吹けば飛ばされそうで、暑い炎天下に出したら溶けそうな、そんな取り扱い注意な印象、それがフィッシュマンズのサウンドの特徴だったと思う。
そして、1999年の春の日曜日の朝、いつものようにスペースシャワーTVを観てたら、フィッシュマンズの佐藤伸二が亡くなったことを知った。
そして、それ以来フィッシュマンズの評価はうなぎのぼりだ。再評価が繰り返されている。
それに乗っかれればいいし、「感謝(驚)」や「新しい人」に佐藤くんの一生を重ね合わせて泣くのも自由だ。だけど、フィッシュマンズはミニマムにな楽しみ方が似合う。
例えば夏の夜に自転車に乗りながら聞く「ナイトクルージング」とか、そんな、昼間の働いていた自分を冷ますミネラルウォーターみたいな、そんな音楽だと思う。真島昌利の「夏のぬけがら」と続けて書ければもっと良い。
このアルバムは、全ての音が気持ちよくて、特に「ナイトクルージング」の延々と繰り返される同じギターリフは退屈なはずなのにずっと聞いていたくなるような、そんな音だ。欲を言えば「すばらしくNICE CHOICE」だけは当時のジャングルミュージックを取り込んだような音楽性で、むろん曲単位としてはすばらしくてもレゲエ〜ダブを基調とした流れの中では浮いて聞こえるのが残念だけど、いいアルバムだ。これが「宇宙日本世田谷」になるとバンドサウンドから完全に乖離しちゃって、個人的に少しだけ不満が残ったけど、やっぱり好きか嫌いかで言うと好きだ。
- アーティスト: フィッシュマンズ,佐藤伸治
- 出版社/メーカー: ポリドール
- 発売日: 1996/02/01
- メディア: CD
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