吉本ばなな「哀しい予感」
とにかくタイトルが素敵だ。原マスミというミュージシャンの曲のタイトルからとったらしい。ぼくは原マスミは未聴だが、おそらくは吉本ばななの独特な雰囲気を伝えてくれる音楽に違いない。
幼少時の記憶を持たない女の子が19歳のときに家出して、変わり者のおばの1人暮らししている家に行って、そして自分の過去の秘密を知るという話。ロードムービー。
正直言えば、その「秘密」とやらには全然意外性はないし、そこそこ物語を読んできた人ならおそらくは読めると思う。文章だって、冒頭で述べた雰囲気とやらも先入観の助けを持って感じれたもので、あまり情景描写に秀でているとはいえない、だけど、すごくいとおしい。
この「だけど」以降が厄介なのだ。ぼくはこの時期の吉本ばななを読むたびに初期スピッツのメロディがぐるぐる頭を回る。
勝手な話だが、ぼくの文体は新井素子と町田康と吉本ばななに影響を受けすぎているの思う。だけど、そんなに吉本ばななを読み込んできた経験はないし、精々4冊くらい、それも80年代のやつしか読んだ記憶がない。ああ、でも特に印象に残っている文章があって、それはブルーハーツについて書いた文章だった。因みにいえば、対談に寄せて書いた文章。
長々と書いてきたが、恐らく自分は吉本ばななと重なる部分が多くて、それゆえに贔屓目になってしまうのだと思う。
- 作者: 吉本ばなな
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2006/12
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