OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

逃亡くそたわけ〜21才の夏〜

 原作絲山秋子の映画。監督は本橋圭太。主演は美波と吉沢悠
 うーん、期待しすぎたからなのか、そこまでいいと思えなかった。これは明らかに自分がThe ピーズの大ファンであるからなのだろうけど、もっとピーズの楽曲を使ってほしかった。 
 これには理由がある。このストーリーは、精神病院から脱走して九州を南走する2人の姿を描いているのだけれど、女性のほうが迫り来る幻聴や幻覚と戦っていて、どこまで逃げても同じだということ、それがテーマとなっている。正直そのテーマが未調理のまま出されていて見苦しいきらいはあるのだけれど、ピーズの切羽詰った状況を、あの気の抜けた、やさしいだみ声で包まれると少しだけその状況が開けて見え、癒しにすらなると思うんだ。だから3曲だけっていうのは、ちょっと物足りなかった。自然光を多用した演出も悪くはないのだけれど、個性を感じさせるものにはまだ遠かった。
 ただ、この映画は美波の好演につきる。演技はまだ巧いとはいえないし、博多弁を完璧にマスターしたわけでもない、でも、この頭が少し弱くて、けどけなげさの残る女の子を演じたことで、不思議ないとしさが生まれた。これ観た後しばらく頭の中に残っていた。美波目当てで「有閑倶楽部」見ようかしらとさえ思う。

逃亡くそたわけ (講談社文庫)

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