哥
実相寺昭雄監督作品。1973年公開。
少々難解で、何度かDVDを戻して見ることとなりました。逆光を気にせず撮ったような、暗い場面が多いのもその理由かもしれませんね。
登場人物は、京都のはずれに住む弁護士森山康(岸田森)とその妻(桜井浩子)彼らに、三男の淳や、途中から出てくる次男の徹、司法試験を目指す住み込みの和田、女中の藤野。登場人物は少ないのだけれど、人物判別ができにくい撮影法や、複雑な物語のため、恥ずかしながらあまり理解できませんでした。鈴木清順の「ツィゴイネルワイゼン」みたいに、ストーリーが理解できなくてもいいやと思わせるような方向のエキセントリックさじゃないのですね。
ただ、この淳は今なら自閉症として見られる男で、社会に適応できない感じが痛々しくて、また植物的に無感情な様子もすごく感じるものがありました。
そして、没落した森山家の土地を売ることにただ1人反対する淳。ぼくはこの姿を、失われていく日本の姿じゃないかなと思いました。
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