OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

スクール・オブ・ロック

 デトロイト・メタル・シティが映画化されるそうだ。はっきり言って、期待できるとは思えない。
 この作品は原作者がメタルをはじめとするについて描いているにもかかわらず、ロック全般の知識がないため、内容がスカスカであるのがつらい。だから、もし映画化するにあたってはそのスカスカな部分に自分なりのロック解釈を詰め込むような映画監督が必要だと感じた。ありえないが、もしマイケル・ウィンターボトムガス・ヴァン・サントが撮れば面白いものになるはずだ。ヘヴィメタのドキュメンタリー映画を撮ったサム・ダンなんか頼めば快諾してくれそうじゃね?
 だがしかし、映画もロックも本来の意味とは離れた、おのおのの映画感やロック感があるため、このふたつが両立した映画は少ない。名作はあるにはあるが、たいていシネフィルから無視されますね。前述の監督が傑作を残しているにもかかわらず今ひとつ評価が低いのはロック映画を撮ったことがあるからだ。
 あらためて声を大にしていいたい。ロックはエンターテイメントなんですよ。
 そこで「スクール・オブ・ロック」。この映画、どこを切り取ってもロックに対する愛があふれているじゃないですか。ジャック・ブラックは「ハイ・フィデリティ」(こちらもロック映画の傑作!)と同じくロックの思想に取り付かれた中年男を熱演。この小者だけどロックに対する愛情だけは人一倍って感じがいいのだ。長年の親友であり同居人のネッド(マイク・ホワイト)から家賃を催促され、バンドもクビになったデューイ(ジャック)。同居人のネッド(マイク・ホワイト)の仕事を掠め取り、名門私立小学校に代用教員として赴任したジャックは、規律にガチガチにとらわれた生徒たちをその音楽の腕を見込んでバンドメンバーに引き入れていくのだ。最初はジャックの無神経さに多少腹を立てていたが、次第に「しょうがないなあ」なんて思わせてしまったのだからロック・マジックだ。ご都合主義なのだけれども、最初は悪役に見えた校長(ジョーン・キューザック)の悩みなんかも描いたところが好印象だった。ラストのバンドの演奏シーンでは泣いてしまいました。「ブラス!」から連綿と続く「苦難を乗り越えてステージの上で自分を表現しきる」系の作品にぼくの涙腺はとても弱いのですよ。
 しかし、ロックが根付くのが遅かった日本ではこんな映画は作られないだろうなとエンドロールを観ながらほろ苦い気分となる。ロックの名曲の数々も版権と予算の関係できっと無理だろうな。デトロイト・メタル・シティを映画化するのにもっとも適した監督は・・・、映画撮ったこと無いけど大槻ケンヂしかいない!

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