OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

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 金城一紀の青春小説を、宮藤官九郎が脚本を書き、行定勲が監督した作品で、この年の映画賞を総なめにした作品。
 前半の疾走感は面白いの一言。ここだけの話、ぼくは原作を現代の「ライ麦畑でつかまえて」じゃないかってくらい高く評価しているのだけれど、その文体のビートをうまく表現できていると思う。プロモーションビデオっぽいといわれる行定表現が功を労している。
 だけど、後半になって失速しちゃうんだ。師匠(岩井)直伝の美しい映像に青年のうつろい行く心を表現しようとしているのはわかるんだけど、前半が面白すぎただけに必要以上に間延びしてみえる。それが改善されるのは、タクシーの中での父親役の山崎努と主人公の窪塚との会話で、山崎の泣き言を窪塚が「ダッセー」と一蹴したところだろうか。まったく関係ないがタクシーの運転手が大杉漣っていうのは「Kids Return」の引用だな。ここからのスピード感は見事。
 ただ、クリスマスイブの日に窪塚がヒロインの柴咲コウと合う場面の台詞の臭さは受け付けなかった。臭いというよりも現実から乖離しすぎなのだと思う。「真剣十代しゃべり場」じゃないんだからというこの台詞の応酬は、実は原作とあまり変わりない。原作の最大の欠点だと思う。
 結論。ぼくはあまり主人公が国籍のことで悩んでる部分は好きじゃないということだ。

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