幸福の黄色いハンカチ
山田洋次の映画。1977年。出演は高倉健、倍賞千恵子、武田鉄也、桃井かおり。しかし、実質的に主役は武田と桃井のようなもの。
ぼくは「男はつらいよ」が好きで、あの柴又の世界観は日本が世界に誇るものだと思っている。だけれども、時折寅の無神経さに憤りを感じるところもある。しかし、寅は寅で、成長しないといわれている割に年を重ねているので、意外にも歯止めを利かせている部分がある。勝手に言えば、それが「男はつらいよ」の人情というスパイスになっている部分で、魅力ではあるのだと思うのだけれど。
この作品では、その「人情」という役割を高倉健に任せ、武田をいかにも若かりしころの寅が現代にいたらという仮定の上で描いていて、その武田の若さを履き違えたような傍若無人っぷりの演技はある意味後世に残すべきものなのだろうけど・・・、ぼくは正直嫌悪感を感じた。上記のような実験があったとしても、ここまで単純な人間がいるか?深みのない人間がいるか?寅とは雲泥の差じゃないか、と。
後半に高倉健が武田や桃井の若さに後押しされてつながる有名なラストシーンなどは、構成の妙だと思うけれど。
散々言われていることだが、ラストシーンにかかる「♪ヒャ〜」というBGMは「男はつらいよ」で有名な音にしか思えない。
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